I. 速度状態依存摩擦則の微視的研究 地震の理論的・数値的研究において速度状態依存摩擦則は大きな役割を果たしている。摩擦は真実接触点の凝着、破壊により生じる。速度状態依存摩擦則は微視的には真実接触点の破壊や変形に対する熱活性化過程によりを導くことができる。真実接触点の破壊に対する熱活性化過程は直接過程と呼ばれる摩擦が速度とともに増大する効果をもたらす。真実接触点の変形とそれによる真実接触面積の増大は間接過程と呼ばれる摩擦が接触時間とともに増大する効果をもたらす。定常状態では接触時間は滑り速度に反比例するため、間接過程は速度の増大による摩擦の減少を引き起こす。通常、速度状態依存摩擦則は速度、状態変数による摩擦係数の変化を議論するが、我々は摩擦係数の絶対値を求めた。直接項が支配的な場合には摩擦力は滑り速度の減少とともに減少し、速度0の極限では消える。最大静摩擦力は0となる。一方、通常の速度領域で間接項が支配的な場合でも、滑り速度が0の極限では直接項が支配的になる。このとき摩擦力は速度の増加とともに0から増大し極大をとりその後減少する。
II. 水分を含んだ粉体のレオロジー特性、摩擦特性の研究 濡れた砂の摩擦特性の実験的研究を行い、濡らし方によって摩擦特性が変わること、乾いた砂より摩擦力が下がる場合があることを示し、その機構を明らかにした。
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