公募研究
本研究では、特徴的な反応を触媒する2つの新規酵素、無機ピロリン酸(PPi)を用いてイノシトールをリン酸化する酵素PPi-IKや、炭素数25個以上のテルペンをプレニル二リン酸から合成する酵素BalTSについて、それぞれの立体構造を決定し、活性の鍵となる部分を見いだす。その情報を基に、関連する新しい酵素のマイニングや、テーターメード改良による「天然にない化合物の合成」ならびに「希少な生合成物質の安価な生産」を目指している。PPi-IKについては、前年度までの研究結果であるPPi-IK/リン酸基供与体PPiのアナログ基質/リン酸基受容体イノシトールの三者複合体の結晶構造の精密化を完了させた。この結果と前年度までの結果を文献(Nagata et al. 2018)にまとめた。またこの三者複合体の結晶構造の分析により明らかになったPPi-IKの基質認識機構を基に、リン酸基受容基質の改変を目指した。その結果、野生型とは異なる生成物を与える改変型PPi-InsKを得ることができた。BalTSについては文献(Fujihashi et al. 2018)でまとめた基質非結合型の結晶化手法を基盤に、基質結合型結晶を得ることを目指した。はじめに大きな疎水性部分をもつBalTS基質溶液を調製するための溶媒を検討した。その結果、20%のメタノールがBalTSと基質複合体の結晶を得るために適切であることがわかった。この条件で得た結晶の回折データを取得し、電子密度の分析を行ったところ、基質に相当する電子密度が得られた。現在構造の精密化を進めている。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 3件、 招待講演 5件)
Nature Communications
巻: 9 ページ: 1765
10.1038/s41467-018-04201-z
化学と生物
巻: 56 ページ: 779-780
10.1271/kagakutoseibutsu.56.779