研究領域 | 生物合成系の再設計による複雑骨格機能分子の革新的創成科学 |
研究課題/領域番号 |
17H05440
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中田 栄司 京都大学, エネルギー理工学研究所, 准教授 (70467827)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 分子コンビナート / アダプター / DNAナノ構造体 / 代謝反応 / 非天然化合物 |
研究実績の概要 |
本研究では、微生物が有する天然化合物合成システムを模倣して、試験管内で非天然骨格を有する生理活性物質を合目的に合成するシステムを構築することを目的としている。本研究を開始するまでに我々が「分子コンビナート」として開発してきた複数種類の酵素をDNAナノ構造体上に配置した高効率な物質変換システムを応用し、様々な由来の酵素を組み合わせることでdnaナノ構造体上で人工代謝経路を構築する。本研究では、特にポリケチド合成酵素およびその関連の修飾関連酵素を組み合わせて非天然化合物を試験管内で高効率に創出できる「分子コンビナート」を創製する。 本年度は、複数種類の酵素を共有結合で安定に配置することができる直交性を有する「DNA結合性アダプター(共有結合型)」を開発し、3種類の酵素を実際に狙った位置に高収率で配置することに成功した。その研究過程において、4種類以上の酵素を配置するために必須となるDNA結合性アダプター(共有結合型)の拡張において、有効な戦略を見出すことに成功し、その戦略に基づいた新たなDNA結合性アダプター(共有結合型)の開発もおこなった。また、足場となるDNAナノ構造体を新たに設計し、酵素を1分子ずつ最大35分子同一DNAナノ構造体上に配置することができるようになった。さらにポリケチド合成酵素とDNA結合性アダプター(共有結合型)を融合したキメラ酵素を設計し、調製をおこない、分子コンビナートの調製に向けた準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、酵素を配置した分子コンビナートを調製するために必須な直交性を有する複数種類のDNA結合性アダプター(共有結合型)を開発に成功し、今後4種類以上の酵素を配置した分子コンビナートを調製するために必須となるDNA結合性アダプター(共有結合型)の拡張において、極めて有効な戦略を見出すことに成功した。実際にこの戦略に基づいた新たなDNA結合性アダプター(共有結合型)の開発もおこなっており、順調に進行していると判断した。一方、ポリケチド合成酵素の選定および調製については、一対一対応で取り組んでいるが、それでも順調に準備が進められているため、全体として順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度確立した複数の酵素を高収率に直交性を持って配置することができるDNA結合性アダプター(共有結合型)を用いて新規に設計したDNAナノ構造体上に配置する。配置された複数種類の酵素を介した反応による生成物を解析し、分子コンビナートの性能について評価をおこなう。
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