研究領域 | 複合アニオン化合物の創製と新機能 |
研究課題/領域番号 |
17H05484
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
伊田 進太郎 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (70404324)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 光誘起プロトン伝導 / ナノシート / 窒素ドープ / 水蒸気電解 |
研究実績の概要 |
水分解機能を持つ光触媒に光を照射すると、水の還元と水の酸化が同触媒上で進行するが、助触媒が存在しない場合は、一般的には水の酸化が進行しやすいため、表面には一時的にその反応生成物としてプロトンが過剰に存在すると予想される。本研究では光触媒活性を持つ酸化物ナノシート上でこのプロトンを積極的に動かすことで、光誘起プロトン伝導が発現するか調査することを第一の目的とする。第二の目的として、この光誘起プロトン伝導を可視光照射下でも実現できるように、酸化物ナノシートの複合アニオン化(窒素ドープ)により、可視光照射下で光誘起プロトン伝導を実現し、その伝導機構を用いて可視光照射で水蒸気の光電気化学分解を達成することを目標している。今年度は、ニオブ系の酸化物ナノシートを用いて、光誘起プロトン伝導が観察されるか確認し、その伝導性を活かして光電気化学的に水蒸気の電気分解が水の理論分解電圧以下で起こるか検証した。その結果、紫外線照射下で光誘起プロトン伝導が発現している可能性を示す結果を得た。また、窒素がドープされたストロンチウムタンタル酸化物ナノシートを合成し、可視光照射によりプロトン伝導が誘起されるか調査したところ、その可能性を支持する強い結果を得ることができた。また、開発したナノシート材料材料を用いて水蒸気の光電気化学分解が実施できるか評価したところ、可視光照射でも光誘起プロトン伝導は発現していることを支持する結果を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定どおり、光によって誘起されるプロトン伝導が確認でき、その可視光応答化も達成できたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、開発した窒素ドープ・ストロンチウムタンタル酸化物ナノシートを用いて光電気化学的に水蒸気を分解する電解セルを開発して、可視光照射下でかつ、1.0Vの印可電圧以下で水蒸気の電気分解が可能か調査する予定である。
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