研究領域 | 複合アニオン化合物の創製と新機能 |
研究課題/領域番号 |
17H05489
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
岡 研吾 中央大学, 理工学部, 助教 (80602044)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 複合アニオン化合物 / 酸フッ化物 / 層状ペロブスカイト / 可視光応答光触媒 / パイロクロア |
研究実績の概要 |
平成29年度は本新学術領域において、領域内の研究者と連携し酸フッ化物を対象とした共同研究を行った。以下にその実績概要をまとめる。 1.パイロクロアPb2Ti2O5.4F1.2の光触媒特性…本研究では東京工業大学の前田准教授、京都大学 陰山教授、北陸先端科学技術大学院大学 本郷准教授、前園教授らのグループと共同研究を行い、可視光領域にバンドギャップを持つパイロクロアPb2Ti2O5.4F1.2が光触媒として機能することを発見した。従来、酸素よりも2pレベルの深いフッ素でアニオン複合化を行うことは、バンドギャップを広げると推測されるため、可視光応答光触媒の物質設計指針としては不適であると考えられていた。しかしながら、アニオン複合化による結晶構造そのものの変化という観点から、酸フッ化物の研究もまた可視光応答光触媒の設計指針として有用であることを示す事が出来た。 2.層状ペロブスカイトPb3Fe2O5Fの物性研究…本研究では東北大学 南部准教授、青山助教、大阪大学 越智助教らのグループと共同研究を行った。中性子回折パターンの温度変化から、400K付近の構造相転移の前後においてFeのスピンの方向が面内から面直方向へと変化していることがわかった。これはスピンと格子が密接に結びついている系であることを示す結果であり、物性物理の研究対象として非常に興味深いものであることがわかった。現在、スピン転移に伴う磁性や電気特性の変化およびスピン方向の変化と結晶構造に関する理論的解釈について研究を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
一年目で光触媒の研究はJournal of the American Chemical Societyに論文投稿、掲載決定まで進めることが出来た。また、層状ペロブスカイトの研究についても、領域内の研究者と連携し、多角的に進めることが出来ている。
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今後の研究の推進方策 |
Pb3Fe2O5F2については、その物性変化の詳細を明らかにすべく、現在の研究を遂行する。また、酸フッ化物のイオンダイナミクスに着目した研究も今後領域内の研究者と連携して進めていく。
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