公募研究
近年、BiOClやBi4NbO8Clなどの酸ハロゲン化合物が新しい可視光応答型光触媒材料として注目されている。しかし、これらの材料は、塩素や酸素などのアニオンが抜けやすいことが問題である。一般にアニオン欠陥は、電子トラップ準位を形成させる。しかし、どのようなアニオン欠陥が、どのような深さの電子トラップ準位を形成するのか、系統的な理解はまだ十分に進んでいない。そこで本研究では、様々な酸ハロゲン化合物を光励起して、可視から中赤外域の過渡吸収測定を行うことで、これらの材料の欠陥準位を調べた。Bi4NbO8Clに紫外光パルスを照射して過渡吸収スペクトルを測定したところ、23000~18000 cm-1と18000~7000 cm-1, <4000 cm-1に特徴的な3つの吸収バンドが観察された。これらはそれぞれ、トラップ正孔、トラップ電子、伝導帯中に存在する自由電子に帰属される。一方、BiOClの場合には25000~1000 cm-1に右肩下がりの単調な吸収だけが観察され、電子は深い欠陥準位にトラップされていることが分かった。つまり、BiOClはアニオン欠陥の生成によって深い電子トラップ準位が形成されるが、Bi4NbO8Clの場合、アニオン欠陥ができても深い電子トラップ準位は形成されにくいことを見いだした。次に、第一原理計算を用いて、このメカニズムを調べた。その結果、O空孔による電子トラップ準位が異なるのは、ハロゲンを挟んだ[Bi2O2]のスタッキング構造の違いで説明できることが分かった。Bi4NbO8Clの場合、[Bi2O2]間のBi-6p軌道が混成し、[Bi2O2]層内に局在したCBMを構成する。つまり、アニオン欠陥ができても、深い電子トラップ準位ができにくいことが分かった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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