公募研究
本研究では、死細胞を核としてマクロファージや線維芽細胞が集積するユニークな微小環境のcrown-like structure(CLS)に着目して、細胞死が誘導する慢性炎症の分子機構を検討している。今年度は、急性腎障害のモデルである腎虚血再灌流障害を用いて、CLSの新たな病態生理的意義を明らかにした。即ち、虚血再灌流障害により細胞死に陥った尿細管上皮細胞をマクロファージが取り囲むCLSが病変部位に形成され、腎障害が遷延することを見出した。この時、死細胞センサーのMincleを欠損すると、炎症がより早期に収束し、尿細管の再生・修復が促進して腎機能が保持された。従来、Mincleシグナルによる炎症性サイトカイン産生が知られていたが、今回新たに、Mincleシグナルが死細胞の貪食を抑制することを見出した。CLSにおいてMincleシグナルが活性化すると、死細胞クリアランスが低下することにより慢性炎症が持続し、腎障害の遷延化をもたらすことが想定される。本研究を通して、肥満(脂肪組織)、非アルコール性脂肪肝(肝臓)、急性腎障害(腎臓)において、共通の微小環境であるCLSを同定した。いずれも実質細胞の細胞死を核として、マクロファージなど間質細胞が集積して形成され、炎症慢性化に働く。一方で、細胞死の種類や死細胞センサー、構成細胞の起源などに相違があることも判明し、疾患や臓器に特異的なメカニズムが存在することが明らかになった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
Sci. Rep.
巻: 8 ページ: 8157
10.1038/s41598-018-26383-8
巻: 8 ページ: 2362
10.1038/s41598-018-19658-7
Am. J. Pathol.
巻: 188 ページ: 1213-1224
10.1016/j.ajpath.2018.01.012
Magn. Reson. Immaging
巻: 57 ページ: 210-217
10.1016/j.mri.2018.11.013
http://www.riem.nagoya-u.ac.jp/4/mmm/index.html