研究領域 | 細胞死を起点とする生体制御ネットワークの解明 |
研究課題/領域番号 |
17H05506
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
瀬川 勝盛 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 寄附研究部門准教授 (20542971)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | フリッパーゼ / 細胞膜 / ホスファチジルセリン / マクロファージ / B細胞 |
研究実績の概要 |
本研究申請では、リン脂質を移層する膜タンパク質、フリッパーゼの遺伝子欠損マウスで見られるB細胞特異的な細胞の消失のメカニズムを解明することを目指した。本年度では、B細胞の分化過程でATP11Aの遺伝子発現が著しく減少することを見出した。ATP11AとATP11Cの二重欠損株をCRISPR-Cas9法で作製し、PtdSerの膜動態を解析した。結果として、細胞膜フリッパーゼを完全に欠損したTリンホーマ株は、一旦PtdSerを露出すると反応収束後もPtdSerを露出し続けることが明らかとなった。骨髄には貪食受容体であるMerTKやAxl、PtdSer受容体であるTim4を強く発現するマクロファージが存在することを免疫染色で示した。この結果は、PtdSerを細胞膜に露出した前駆B細胞が骨髄中でマクロファージに貪食されている可能性を示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨髄におけるB細胞の分化過程において、細部膜フリッパーゼのATP11Aが著しく減少することを見出した。 又、細胞膜フリッパーゼを完全に失った血液系の細胞は、一旦露出PtdSerを元に戻すことができず、露出し続けることも明らかとなった。これらの結果は、PtdSerを細胞膜に露出した前駆B細胞が骨髄中でマクロファージに貪食されている可能性を示唆した。以上より、申請内容のB細胞欠損症のメカニズムの理解に一程度貢献したと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
ATP11C欠損マウスと貪食受容体であるmerTKやAxlの多重欠損マウスを作製し、B細胞欠損症や関連する貧血や胆汁鬱滞などの病態が改善するかを検討する。また、MerTKやAxlには投与可能な阻害剤も存在しており、その効果をATP11C欠損マウスで検討する予定である。
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