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2017 年度 実績報告書

脂質酸化依存的新規細胞死(リポキシトーシス)実行因子の細胞及び個体での機能解析

公募研究

研究領域細胞死を起点とする生体制御ネットワークの解明
研究課題/領域番号 17H05513
研究機関北里大学

研究代表者

今井 浩孝  北里大学, 薬学部, 教授 (50255361)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワードリポキシトーシス / フェロトーシス / ノックアウトマウス / 相互作用蛋白質 / 機能解析
研究実績の概要

GPx4は生体膜に生じたリン脂質ヒドロペルオキシドをグルタチオン依存的に還元できる抗酸化酵素である。我々はこれまでにGPx4を欠損すると様々な細胞において脂質酸化依存的な新規細胞死を誘導することを報告してきた。抗がん剤エラスチンやRSL3はGPx4活性を制御して起きる鉄依存性の脂質酸化依存的新規細胞死フェロトーシスを誘導することが報告され、注目を集めているが、GPx4欠損細胞死では、鉄のキレーターで抑制できないこと、致死の時間が遅いことから異なる細胞死であることを見出している。そこでGPx4欠損新規細胞死をリポキシトーシスと名付け、リポキシトーシス実行因子を明らかにすることを目的に網羅的shRNAライブラリーのスクリーニングを行い、ノックダウンによりリポキシトーシスを抑制し、そのノックダウン細胞にcDNAを再導入することにより、細胞死が回復する遺伝子をこれまでに5個見出している。この遺伝子をLipo遺伝子1-5と名付け、本研究ではこのLipo遺伝子の機能解析を進めると共に、Lipo-1及びLipo-2は新規タンパク質であり、ノックアウトマウスの作成を試みた。またLipo-3遺伝子では心臓特異的GPx4欠損マウスとのダブルノックアウトマウスの作成を行った。Lipo-1はGPx4欠損の際の脂質酸化の制御に関わることを見出した。またLipo-2-5は脂質の酸化の下流、ERKのリン酸化の上流で機能していることがわかった。またLipo5の相互作用タンパク質をプロテオミクス解析したところ、Lipo-2と相互作用する可能性があることが明らかとなった。Lipo-1及びLipo-2KOマウスの作成を行ったところ、Lipo-1KOマウスは極めて生まれにくいことが明らかとなった。Lipo-2KOマウスは正常にうまれ生育した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

Lipo-1及びLipo-2KOマウスの作成、心臓特異的GPx4Lipo-3ダブルKOマウスの作成にも成功している。さらにダブルKOマウスの作成を試み、フェノタイプの解析を進めている。各lipo遺伝子の機能部位も明らかになり、Lipo-2とlipo-5が相互作用している可能性も見出したことから順調に進んでいると言える。

今後の研究の推進方策

Lipo-1,Lipo-2,およびLipo-3と心臓特異的GPx4欠損マウスとのダブルKOマウスを作成し、3つの遺伝子のリポキシトーシスにおける個体レベルでの機能解析を進める。Lipo-1,Lipo-2,およびLipo-3抗体についても作成及びワークする抗体を得ることに成功したので、蛋白レベルでの解析を進める。Lipo-5と共沈蛋白質のプロテオミクス解析からLipo-2が同定されたことから、本当に結合するのか、結合の部位や致死の際のみで結合するのかについて詳細な解析を試みる。Lipo-3については、変異体の作成に成功したので、変異体の細胞死実行における役割について細胞レベルでの機能解析を進める予定である。またリポキシトーシスに特徴的な遺伝子群に関してもリストアップはできたので、細胞死実行との関連についての解析を進める予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 5件)

  • [雑誌論文] 生体膜リン脂質のレドックス制御によるフェロトーシス制御2018

    • 著者名/発表者名
      今井浩孝
    • 雑誌名

      実験医学

      巻: 36 ページ: 94, 102

  • [学会発表] GPx4欠損新規細胞死制御因子から見たフェロトーシスとの違い2018

    • 著者名/発表者名
      今井浩孝
    • 学会等名
      第15回レドックス・ライフイノベーションシンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] GPx4欠損脂質酸化依存的新規細胞死とフェロトーシスの違い2018

    • 著者名/発表者名
      今井浩孝
    • 学会等名
      日本薬学会第138年会
  • [学会発表] GPx4により制御される脂質酸化依存的新規細胞死とフェロトーシス2017

    • 著者名/発表者名
      今井浩孝
    • 学会等名
      第44回日本毒性学会学術年会
    • 招待講演
  • [学会発表] GPx4により制御される脂質酸化依存的新規細胞死メカニズムと疾患2017

    • 著者名/発表者名
      今井浩孝
    • 学会等名
      第171回東京脂質談話会
    • 招待講演
  • [学会発表] GPx4とビタミンEにより制御される新規細胞死と疾患に関する研究2017

    • 著者名/発表者名
      今井浩孝
    • 学会等名
      衛生薬学・環境トキシコロジー フォーラム2017
    • 招待講演
  • [学会発表] 脂質酸化依存的心臓突然死の発症機序解明と米糠トコトリエノールによる予防効果2017

    • 著者名/発表者名
      今井浩孝
    • 学会等名
      公益財団法人飯島藤十郎記念食品科学振興財団 第29回学術講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] GPx4欠損による脂質酸化依存的新規細胞死(リポキシトーシス)とフェロトーシスの分子メカニズム2017

    • 著者名/発表者名
      今井浩孝
    • 学会等名
      生命科学系学会合同年次大会 第40回日本分子生物学会年会 第90回日本生化学会大会(ComBio2017)
  • [学会発表] Lipid peroxidation dependent cell death by GPx4 depletion involves different pathway from ferroptosis2017

    • 著者名/発表者名
      Hirotaka Imai
    • 学会等名
      8th Joint Meeting of Society for Free Radical Research Australasia and Japan with Internatinal Symposium on Coenzyme Q10
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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