公募研究
ChlRは、低酸素環境に応答してテトラピロール生合成における低酸素型酵素群をコードするオペロンchlAII-ho2-hemNの転写を活性化するMarR型転写制御タンパク質である。ChlRの低酸素感知の構造基盤を明らかにするため、エラープローンPCRを介してchlR遺伝子に変異導入を行い、好気条件で生育できないchlAII欠損株を好気条件でも生育可能とするような偽復帰変異をスクリーニングした。その結果、好気条件での生育を回復した偽復帰変異体を単離し、原因変異がchlR遺伝子に生じていることを確認した。これらの偽復帰変異株はいずれも好気条件においてもchlAIIオペロンの転写を活性化しており、ChlRが恒常的に活性化型となっていることが確認された。ほとんどのアミノ酸置換はN末端ドメインに集中しており、ChlRのN末端ドメインの構造変化が転写活性化に重要であることを示唆している。CnfRは、窒素固定性シアノバクテリアに分布し、低酸素と窒素枯渇を感知し、窒素固定(nif)遺伝子群の転写を活性化するマスターレギュレーターである。そのN末端には2つの[4Fe-4S]クラスターを保持するドメイン(フェレドキシンドメイン)を有する。このドメインを介した低酸素感知機構を明らかにするため、フェレドキシンドメインを異種フェレドキシンに置換もしくは、[4Fe-4S]クラスター保持に関わる8個のCys残基をすべてAlaに置換した一連の変異型cnfR遺伝子を構築し、cnfR欠損株の窒素固定的生育能の相補により評価した。その結果、いずれの変異型CnfRも窒素固定的生育を相補できなかった。この結果は、CnfRの低酸素感知と転写活性化において、[4Fe-4S]クラスター形成のみならずアポタンパク質のアミノ酸配列も必須の役割を果たしていることを示している。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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