研究領域 | 酸素を基軸とする生命の新たな統合的理解 |
研究課題/領域番号 |
17H05537
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
山村 寿男 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 准教授 (80398362)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ミトフュージン / ミトコンドリア / 筋小胞体 / カルシウム / 血管 / 平滑筋 / ATP / イオンチャネル |
研究実績の概要 |
あらゆる細胞種において、細胞内情報伝達の要となる細胞内カルシウム濃度変化は、細胞膜上のイオンチャネルやカルシウム貯蔵部位である筋小胞体とミトコンドリアによって緻密な制御を受けている。ミトコンドリアは生体において、主要なエネルギー産生の場として重要である。また、ミトコンドリアによるエネルギー産生は、カルシウム濃度依存的に行われるが、これを効率的に行うためにミトコンドリアと筋小胞体は互いに近接していると想定されている。このオルガネラ間の近接を担う分子として、ミトコンドリア外膜および筋小胞体上にミトフュージン2が存在する。ミトフュージン2はアミノ末端領域にGTPaseドメインを持ち、ミトコンドリア外膜の融合を担うことが知られているが、ミトコンドリア機能に対するミトフュージン2の役割に関しては不明な点が多い。本研究課題では、血管平滑筋細胞のミトコンドリアに着目し、血管平滑筋細胞におけるミトフュージン2によるミトコンドリア機能への影響を明らかにすることを目指した。その結果、血管平滑筋細胞のミトコンドリアにおいて、ミトフュージン2ノックダウンによりミトコンドリアへのカルシウム取り込み活性が減少することが分かった。また、ミトコンドリア膜電位はミトフュージン2ノックダウンによって減少した。次に、定常状態におけるミトコンドリア内ATPは、ミトフュージン2をノックダウンした群で減少が認められた。以上の結果、ミトフュージン2は血管平滑筋においてミトコンドリアカルシウム動態やミトコンドリア膜電位の制御を介してATP産生に寄与していると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の主な目的である、血管平滑筋細胞のミトフュージン2によるミトコンドリア機能への影響を一部明らかにすることが出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の1年目にミトフュージンの血管平滑筋における生理機能を明らかにすることができた。2年目は、ミトフュージンの機能破綻を発端とする各種循環器疾患に着目し、研究を展開する予定である。特に、肺高血圧症、門脈圧亢進症、高血圧症などにおいて、ミトフュージンの発現変化をリアルタイムPCR法、ウェスタンブロット法、免疫抗体染色法で解析する。発現変化が認められた場合には、画像・電流測定などの機能解析を行い、ミトフュージンの病態における機能変化を明らかにすることを目指す。
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