研究領域 | 行動適応を担う脳神経回路の機能シフト機構 |
研究課題/領域番号 |
17H05574
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
飛田 秀樹 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (00305525)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 脳内出血 / リハビリテーション / ウイルス二重感染 / 神経遮断 / 皮質赤核路 |
研究実績の概要 |
脳血管障害後の有効なリハビリテーション法に麻痺側上肢の集中的な使用(CIMT法)があるが、CIMT法による運動機能の獲得過程そのものに皮質赤核路が関わるのか、他の残存する下行路と関連性はあるのか等の詳細な作用機序については未だ不明である。 本研究では、二重ウイルスベクター感染法により運動野-赤核路および運動野網様体の選択神経遮断法を可能とし、脳出血後のCIMT法による運動機能の回復過程における皮質赤核路および皮質網様体路の果たす役割を解析しすることを目的としている。 H29年度は、予め皮質赤核路および皮質網様体路をウイルスベクター二重感染法により各々選択遮断が可能な状態としたのち、内包部近傍の脳内出血を作成し、出血1-8日にCIMT法を実施した。その結果、CIMT開始時から皮質赤核路をドキシサイクリン(DOX)投与によって選択神経遮断しても、CIMTによる運動機能の回復が認められた。また、皮質に投与したBDAによる神経線維ラベルによって脳幹部網様体にBDA陽性線維が確認されることが示された。すなわち、リハビリテーション時に皮質赤核路の神経遮断をすると皮質網様体路を経由する新たな神経回路が形成される可能性が示された。次に、皮質赤核路のDOX投与に寄る遮断に加え皮質網様体路をCNO投与により更なる選択神経遮断させる実験を行った。その結果、CIMTに寄る運動機能改善野効果は全くは認められなくなった。 以上の結果から、脳内出血後のリハビリテーションにより、まず皮質赤核路が働くようなメカニズムが働き、さらにこのルートが作動しない場合には皮質網様体路が働くようなメカニズムが働くことが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
赤核における促通性亢進関連因子の探索、オプトジェネティクス法を用いた実験の準備を実施する予定であったが実施できなかった。しかし、前述のよう予想以上の結果が得られ、全体としては概ね良好に進
|
今後の研究の推進方策 |
リハビリテーション時に皮質赤核路を選択遮断すると皮質網様体路を経由する新たな神経回路が形成される可能性が示されため、皮質赤核路の選択遮断に加え皮質網様体路の更なる選択遮断する実験の思考回数を増やし、より確かな結果を得ていく。 さらに、脳内出血後のリハビリテーションにより、皮質赤核路がまず働くようなメカニズムや場合によっては皮質網様体路が働くようなメカニズムに関与する、促通性亢進関連因子の探索を進めていく。
|