公募研究
神経回路機能を理解するためには、それをサブ回路に分離する技術が鍵となる。代表者が開発した新規技術「神経細胞の誕生日タグづけ法」は、トランスジェニックマウス系統を用いて、神経細胞の誕生日依存的に遺伝子組換えを誘導するシステムである。「誕生日」という神経細胞の新たな分類を可能にし、その分類に基づいた神経細胞の機能操作ができる。本研究では、この新規技術を用いて、以下の2つの取り組みを行なった。1) 多くの神経系において「誕生日」は神経細胞の有用な分類になるので、この技術は様々な脳領域の研究者にとって有用であると期待される。未発表のこの新規技術を領域会議等で紹介することで、領域内共同研究の開拓につとめた。本年度は新規に2件4系統の誕生日タグづけマウスを領域内研究者に提供し、合計4件8系統について領域内の共同研究を推進した。2) 代表者は「神経細胞の誕生日タグづけシステム」を用いて、誕生時期の違う嗅球の投射神経細胞が、各々分離可能なサブ回路を形成することを見いだしている。遅生まれの房飾細胞は、軸索を非常に限られた領域に収束させており、他の嗅球神経細胞とは独立した神経回路を作っている。これらの神経回路特異的な神経活動の操作を目指しているが、遺伝子サイレンス等による影響から計画通りに研究が進められず困っていた。本領域の領域班員からのアドバイスや支援活動のおかげで、ウイルスベクターを使えれば現在抱えている問題を回避できることがわかった。
2: おおむね順調に進展している
二次嗅覚系の神経細胞の神経活動を制御する方法が計画通りいかず、当初の計画が遅延してしまったが、ウイルスベクターを用いれば問題を回避できることがわかった。
当初の研究計画を変更して、本研究領域の支援班からウイルスベクターの提供を受け、これを用いて効率的に研究を進める。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
Dev. Growth Differ.
巻: 59 ページ: 270-285
10.1111/dgd.12364
Sci. Rep.
巻: 7 ページ: 11992
10.1038/s41598-017-12269-8.