公募研究
我々は、心肥大、心不全をきたしたマウス心臓で有意に上昇する長鎖非コードRNAを網羅的に解析し、その機能を検討することとした。マウス大動脈縮窄モデルを作成し、心肥大、心不全心で高発現していたlong intergenic non-coding RNA(lincRNA)を同定し、lincRNA-Hypertrophy1~10と名づけた。中でも、lincRNA-hypertrophy5は、心筋と骨格筋に特異的に発現する筋肉特異的なlincRNAである。lincRNA-hypertrophy5欠損マウスを作製したところ正常に生まれてくるが、心臓に圧負荷をかけると代償できずに心不全を呈することも明らかとなった。本研究では、特にこのlincRNA-hypertrophy5欠損マウスを用いて、生体でのlincRNA-タンパク-DNA複合体の働きを明らかにする予定である。①RNA IPによるRNA結合タンパク質とlincRNA-hypertrophy5の結合確認:RNA pulldown法により、lincRNA-hypertrophy5とpurine rich element binding protein alpha (PURalpha)が結合することが分かった。逆に抗PURalpha抗体により、lincRNA-hypertrophy5が回収可能であることも判明した。また、lincRNA-hypertrophy5とPURalphaとの結合部位もRNA pulldownにより同定した。② lincRNA-hypertrophy5欠損マウスの心臓組織、心機能の解析:lincRNA-hypertrophy5欠損マウスの心臓に圧負荷をかけたところ心不全を呈した。レクチン染色を用いた心筋細胞肥大の計測では心筋細胞の肥大が認められず、圧負荷に代償できていないことが明らかとなった。
1: 当初の計画以上に進展している
①RNA IPによるRNA結合タンパク質とlincRNA-hypertrophy5の結合確認:RNA pulldown法により、lincRNA-hypertrophy5とpurine rich element binding protein alpha (PURalpha)が結合することが分かった。逆に抗PURalpha抗体により、lincRNA-hypertrophy5が回収可能であることも判明した。また、lincRNA-hypertrophy5とPURalphaとの結合部位を検討した。PURはCGGリピートに結合することが知られているため、PUR内に存在する2ヶ所のCGG配列部位を確認すると、2ヶ所とも比較的Accessibilityの高い部位に存在していた。さらに約100bpごと長さのことなるlincRNA-hypertrophy5を作成したところ、5'側100-200bpと結合することがRNA pulldownにより判明した。② lincRNA-hypertrophy5欠損マウスの心臓組織、心機能の解析:lincRNA-hypertrophy5欠損マウスの心臓に圧負荷をかけたところ心不全を呈した。レクチン染色を用いた心筋細胞肥大の計測では心筋細胞の肥大が認められず、圧負荷に代償できていないことが明らかとなった。線維化については同等であったため、lincRNA-hypertrophy5欠損マウスでは心肥大に関する経路に異常が存在することになる。この原因を解明する目的で、PURalphaが制御するミオシン関連分子に着目してさらに研究を進めている。
①lincRNA-hypertrophy5欠損マウスの心臓組織、心機能の解析:lincRNA-hypertrophy5欠損マウスの心臓に圧負荷をかけたところ心不全を呈した。レクチン染色を用いた心筋細胞肥大の計測では心筋細胞の肥大が認められず、圧負荷に代償できていないことが明らかとなった。線維化については同等であったため、lincRNA-hypertrophy5欠損マウスでは心肥大に関する経路に異常が存在することになる。この原因を解明する目的で、PURalphaが制御するミオシン関連分子に着目してさらに研究を進めている。lincRNA-hypertrophy5が、PURalphaとミオシン関連分子の結合を阻害するモデルについて検討を行っている。②生体での骨格筋の機能解析:これまでのC2C12細胞株を用いた検討により、着目するlincRNA-hypertrophy5は骨格筋分化や代謝においても重要な働きを有するデータを得ている。そこで、回転ケージ等を用いて、運動可能時間や走行距離を計測する。また呼吸能を計測し、全身の代謝が変化しているかを測定する。また、cardiotoxinの注射により、骨格筋障害モデルを作成し、遺伝子の発現変動をマイクロアレイ解析により明らかにし、さらに生体での骨格筋の再生について、組織レベルで評価する。③ChIRP(Chromatin Isolation of RNA Purification)による解析:骨格筋においては、心臓とは異なったRNA-タンパク-DNA複合体が存在する可能性がある。心筋と同様に評価を行う。得られたタンパク、DNAについて機能解析を続ける。
すべて 2018 2017 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
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