研究領域 | ノンコーディングRNAネオタクソノミ |
研究課題/領域番号 |
17H05601
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
齊藤 博英 京都大学, iPS細胞研究所, 教授 (20423014)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 機能性RNA / リガンド結合性RNA / 大規模機能解析技術 / RNA高次構造 / RNAモチーフ |
研究実績の概要 |
本研究における当該年度の課題はゲノム由来のRNA構造モチーフの機能を評価するStructure-wideな作動エレメント大規模解析系の確立である. 当該年度はまず,ライブラリスケール,RNA構造の多様性,定量性,信頼性の観点から,これまで確立した技術を大幅にアップデートし「FOREST (Folded RNA Element Screening System) 」を開発した.FORESTは数万を超えるRNA構造モチーフに対する機能評価を可能にするため,ゲノム中のRNA構造モチーフが有する独自機能を余すことなく調査できる全く新しい手法である. さらにFORESTを応用し,次に述べる3つの機能評価系: 1) 共免疫沈降法とカスタムマイクロアレイを用いた大規模RNA-タンパク質相互作用解析法,2) プルダウン法とカスタムマイクロアレイを用いた大規模RNA-低分子相互作用解析法,3) 次世代シークエンサーを用いたリボザイムの大規模自己切断活性解析法を確立した. 実験系の確立に加えて,実際にヒトゲノムよりRNA高次構造情報に基づいて複数の作動エレメントを突き止めることに成功している.一部では細胞内の検証実験を終え,細胞内の翻訳活性を制御する作動エレメントを新しく発見することに成功した. RNAの機能は配列と高次構造によって規定される.近年,細胞内のRNAが織り成す高次構造総体「RNA Structurome」が明らかになっているが,依然として各RNA構造モチーフの機能は未知のままである.本研究によって構築された上記の解析技術を適用することで,作動エレメントが統治する新しい制御層「RNA Elementome」の解明が期待される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究における当該年度の研究目標は,独自の技術であるRNA構造ライブラリを駆使し,[1]タンパク質相互作用,[2] 低分子相互作用,[3] 自己切断触媒活性の三項目に重要な作動エレメントを突き止めることができる大規模解析の基盤構築であった.生物学,化学的意義の再考により,標的とする分子の変更を行ったものの,結果的に[1]-[3]の全ての課題を完遂した.加えて最終年度実施予定であった実証実験も[1]に関しては既に終えており,論文投稿に向けた準備を行っている.同じく最終年度実施予定である作動エレメントの機能に重要な配列・高次構造的要素を突き止める解析基盤の構築も既に終えた.これらのことから当初の計画以上に進展したと判断した.
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今後の研究の推進方策 |
今後の方針としてはFORESTによるStructure-wide解析をRNA生物学分野全体に広く流布させることを目的とする.これによって,ユニークな機能を発揮する作動エレメントを余すことなく特定し「RNA Elementome」を解明することを目標とする.領域内外と強力な共同研究体制を構築し,特定の機能に対する作動エレメントの網羅的同定を行う.
具体的な例としては,領域代表の廣瀬研究室との共同プロジェクトがあげられる.既にlncRNAであるNEAT1に対して(1) PARISのデータ,(2) ゲノムワイド構造予測データ,(3) 一定間隔で配列全長を分割する方法で,NEAT1の配列・構造単位を網羅したRNA構造ライブラリを設計・合成した.今後はNEAT1のRNA構造ライブラリを使用し,パラスペックル形成に重要な作動エレメントの解明を行う.同時に,その他のRNA構造に着目し新しい細胞内現象の解明を行う予定である.
次いで,ワトソンクリック塩基対形成による二次構造アノテーションに加えて,これまで評価が困難であったRNA G-quadruplex (G4) を加味した解析基盤を構築する.これは実施例を重ねる中で,タンパク質や低分子結合に対するG4構造の重要性を考慮する必要があると判断したためである.実験手法としては,G4結合抗体を用いてG4RNAを網羅的に検出することで,ライブラリ中の各構造に対してG4のアノテーションを付与することを検討している.
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