本研究の目的は、申請者が開発した超高速RNA-RNA相互作用予測ソフトウェアRIblastを用いて、機能未知の長鎖非翻訳RNA(lncRNA)の機能を情報科学的に推定することである。本年度は、RIblastによる生物学的な機能推定を行う前に、RIblastの技術的な基盤を確立する事を目的とした。研究成果は下記の通りである。(1) RIblastの相互作用予測結果について、そのスコアの帰無分布がグンベル分布に従う事を確認し、そのパラメータが配列情報のみから予測できる事を示した。また、その結果に基づいてRIblastの予測結果の統計的有意性を検証するソフトウェアを開発した。(2) ヒトの5'-UTRと3'-UTR間での網羅的相互作用予測を行い、霊長類レベルで保存されており、統計的に有意である新規UTR-UTR相互作用を発見した。(3) ヒト及びマウスのlncRNA-mRNA間の相互作用をRIblastを用いて網羅的に予測した結果を組織特異的発現データ及び細胞内局在データと統合したデータベースであるLncRRISearchを作成した。現在、(1)(2)については論文がacceptされており、(3)の結果については論文投稿中である。また、LncRRISearchの結果を利用して、(4)ヒト・マウス・ラットレベルで進化的に保存されたlncRNA-RNA相互作用の網羅的な検出 (5)RIblastの予測結果によるlncRNA knock down実験のDEG予測といった研究に取り組んでいる。
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