研究実績の概要 |
植物のnon-coding RNA研究は、個々のnon-coding RNAの生理機能が解明されつつあるが、植物のゲノムワイドな非コードゲノム領域の機能と存在意義に関する知見は極めて乏しい。 本研究では、減数分裂前の生殖初期に特異的に発現する700種以上の生殖lincRNAs (large intergenic non-coding RNA)とmicroRNA2118 (miR2118) の機能と制御機構を解析し、植物生殖細胞発生の分子メカニズム解明を目指す。これら生殖lincRNAには、miR2118が認識する22塩基長の共通配列が存在する。生殖lincRNAsは、miR2118切断を介して、21塩基間隔にプロセシングされ、21塩基のフェーズを示すphased small interfering RNA (phasiRNAs) が生成される。これら21塩基のphasiRNAは、イネの生殖細胞特異的に働くArgonauteタンパク質と結合することを明らかにしている (Komiya et al., Plant J 2014)。 本年度は、phasiRNA生成に重要なmiR2118変異イネを用いたsmall RNA シーケンス、生殖lincRNA シーケンス、及び、ゲノムシーケンスを行い、変異部位の同定、及び、変異によるphasiRNA生成/生殖lincRNAの発現への影響を明らかにした。さらに、プロテオーム解析を行い総体的なタンパク質の発現変動を解析した。変異体解析、トランスクリプトーム、及び、プロテオームの融合により、生殖で機能する新たな候補因子、及び、有用領域を絞り込んだ。本年度は、国際学会、及び、国内学会で本研究内容を報告した。また、本研究の論文投稿に向けて現在準備を進めている。
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