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2017 年度 実績報告書

腸管神経系の組織恒常性維持機構の解明

公募研究

研究領域ステムセルエイジングから解明する疾患原理
研究課題/領域番号 17H05644
研究機関神戸大学

研究代表者

上坂 敏弘  神戸大学, 医学研究科, 講師 (90304451)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワードシュワン細胞 / 分化転換 / 腸管神経系 / 外来神経線維
研究実績の概要

成体幹細胞としての特性を有する細胞ソースとしてシュワン細胞前駆細胞がはたらいている可能性が近年高まっている。我々は最近シュワン細胞系譜から、大腸の腸管ニューロンが生後につくられていることをマウスにおいて見出した。本研究では、まずシュワン細胞系譜からの腸管ニューロン新生が、生後どの時期まで認められる現象であるのかを検証した。シュワン細胞系譜選択的なCreの発現を呈するDhh::CreERT2マウスラインを作製し、タモキシフェン処理により生後の特定の時期にシュワン細胞を遺伝学的に標識して細胞運命を追跡した。その結果、これまでところ、生後1週間ぐらいまでに標識された腸管外のシュワン細胞が大腸に移行して、ニューロンになることが確認された。一方、生後2か月のマウスでは、標識されたシュワン細胞は腸管外の外来神経線維上にとどまり、腸管への侵入は確認できなかった。つまりシュワン細胞(前駆細胞)の移動能や分化能は離乳時期までに限定していることが明らかになってきた。さらに硫酸デキストランによる大腸炎誘発によってニューロン新生が生じることが知られているが、大腸炎モデルにおいてもシュワン細胞の大腸への侵入は認められなかった。これらのことから、成体になるとシュワン細胞系譜の細胞が有するニューロン新生能は失われる可能性が高まった。一方で、腸管に投射する外来神経線維を薬剤6-OHDAで処理して消失させると、シュワン細胞が腸に移動し、ニューロンになる現象が捉えられたので、現在さらに検証を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

シュワン細胞系列の細胞を選択的、時期特異的に標識するためにDhh::CreERT2を作製し、標識を試みたところ、腸管外の、外来神経線維上のシュワン細胞は標識されるが、腸管にすでに侵入したシュワン細胞は標識されないことを見出した。したがって、腸管近傍の外来神経線維上のシュワン細胞の挙動を追跡する実験系となった。その結果、マウスにおいて離乳期までだと、シュワン細胞が腸管に侵入し、ニューロンになることを確認できたが、生後1カ月以降では、シュワン細胞の腸管への侵入が確認されず、腸管神経系へ寄与は認められなかった。つまりシュワン細胞系譜の細胞の腸への移動能が成体では通常失われていることがわかった。

今後の研究の推進方策

成体の腸管神経系において、ニューロン新生やグリア細胞新生の細胞ソースとなっている細胞を解析するため、第一に腸内環境の変化に着目し、無菌状態か植菌することで誘発される細胞増殖を示す細胞を解析する。また交感神経線維を6-hydroxydopamine 投与により消失させると神経線維上のシュワン細胞が遊離し、腸管に移動した細胞がニューロンになることを見出している。このような現象が加齢したマウスでも見られるのかどうかを検証する。
炎症正反応とニューロン・グリア新生との関連性を見るためにToll様受容体やアダプタータンパクであるMyd88の細胞選択的欠損を試み、それによる細胞新生の低下などの影響を検証し、腸内環境と分化転換能もしくは幹細胞能の調節に関与しているのかどうか検証する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Enteric neurogenesis from Schwann cell lineage in mouse models of Hirschsprung disease2017

    • 著者名/発表者名
      上坂敏弘
    • 学会等名
      第40回日本神経科学大会

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公開日: 2018-12-17  

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