公募研究
本研究は、幹細胞の自己複製能や多分化能の維持が、リボソーム生合成経路の安定的な運用による翻訳制御に依存することを明らかにすることを目的とし、実施した。これまでに、造血幹細胞が幹細胞性を維持するためには細胞の翻訳量が比較的低いレベルに保たれている必要があること、ならびに翻訳システムに障害を持つ細胞が老化表現型を呈することが示されているが、翻訳量を一定レベルに調節する分子メカニズムや、翻訳の選択性を細胞がどのように制御しているかということについては、その大部分が不明である。一方我々は、老化個体由来のマウスHSC遺伝子発現パターンを若齢個体のものと比較したところ、老化HSCでは、リボソーム生合成に関わる核小体タンパク質の発現が広汎に低下することを見出した。加えて、リボソームRNA(rRNA)の生合成に関わる因子のうち、造血器腫瘍の発症に関わるDDX41遺伝子変異について並行して解析を行い、DDX41変異によるpre-rRNAプロセシング障害を呈した細胞が、老化HSCの表現型と強い類似性を呈することを見出した。こうしたことを受け、DDX41変異の導入や発現量の低下を誘導した造血細胞をモデルに、血液細胞が老化表現型を示すメカニズムを、翻訳の視点から解析した。その結果、細胞老化を誘導した細胞では、翻訳レベルでリボソーム関連分子やエピゲノム制御分子の発現量が調節されていることが明らかとなった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (24件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
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