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2017 年度 実績報告書

アミノ酸飢餓応答における停滞リボソーム-新生鎖複合体の解析

公募研究

研究領域新生鎖の生物学
研究課題/領域番号 17H05671
研究機関横浜市立大学

研究代表者

山下 暁朗  横浜市立大学, 医学部, 准教授 (20405020)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワードアミノ酸飢餓 / 翻訳 / リボソーム / 新生鎖
研究実績の概要

本研究では、飢餓アミノ酸コドン上で停滞したリボソームにおける新生鎖の運命を解明することを目的に、SMG1とプロテアソーム、TRiC複合体を基軸として解析を進めた。
1)アミノ酸飢餓ストレスにより停滞したリボソーム上の新生鎖の運命の解析:
アミノ酸飢餓により停滞したリボソーム上の新生鎖を簡便に解析するため、レポーターとして、飢餓アミノ酸を置換したNanoLucを作成し、解析した。その結果、NanoLucの活性が野生型の1/1000~1/20000となり、使用可能ではあるが、最適ではないこと明らかとなった。そのため、新たに発表された、HiBit(Split-NanoLucペプチド)に飢餓アミノ酸コドン(KVPE)を含まないmutant-T4-Lysozyme (mT4L)を融合させたタンパク質に飢餓アミノ酸コドン、自己開裂ペプチド、Halo-Tagを配置したレポーターを設計した。HiBitペプチドはリジンを含むため、これをアルギニンに置換した改変HiBitを作成し、解析した結果、オリジナルの物よりも高い活性が得られた。このレポーターをeGFP-rpL10a融合タンパク質を判定発現する細胞へ導入すべくレンチウイルスベクターの作成を進めている。これを用いて、GFP抗体ビーズ胃より精製したリボソームと共精製されるHiBitペプチド新生鎖の存在量をLgBitを含むアッセイキットにより測定することで定量化することで、アミノ酸飢餓ストレスにおける新生鎖の運命を解析する予定としている。
2)アミノ酸飢餓ストレスにおける新生鎖の運命決定に対するSMG1機能の解析:
ペプチドアレイを用いてSMG1の基質特異性を解析した結果を基に、in-silico解析を行った。その結果、SMG1の基質候補として2つのプロテアソームサブユニットと1つのTRiC構成因子を同定した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

アミノ酸飢餓ストレスにおける新生鎖の運命を解析するため、レポーターとして、飢餓アミノ酸を置換したNanoLucを使用可能か解析した結果、野生型の1/1000~1/20000の活性であった。そこで、新規に開発されたSplit Nano luciferaseであるHiBit-LgBit systemを改変し、使用することにより、飢餓アミノ酸コドン(KVPE)を含まないレポーターの作成に成功した。レポーター安定発現細胞作成のためのレンチウイルスベクター作成に手間取ったが、問題は解決している。また、SMG1と新生鎖の関わりを解析するための基質候補探しについても、ペプチドアレイを用いたSMG1基質特異性解析とin-silico解析により候補の絞り込みに成功した。
以上より、研究はおおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

1)アミノ酸飢餓ストレスにより停滞したリボソーム上の新生鎖の運命の解析:
アミノ酸飢餓により停滞したリボソーム上の新生鎖を簡便に解析するために作成したレポーターを安定発現する細胞株を樹立する。昨年度設計・作成中のレポーターは改変型HiBit(Split-NanoLucペプチド)に飢餓アミノ酸コドン(KVPE)を含まないmutant-T4-Lysozyme (mT4L)を融合させたタンパク質に飢餓アミノ酸コドン、自己開裂ペプチド、Halo-Tagを配置した。このレポーターとeGFP-rpL10a融合タンパク質を判定発現する細胞を樹立する。これを用いて、GFP抗体ビーズ胃より精製したリボソームと共精製されるHiBitペプチド新生鎖の存在量をLgBitを含むアッセイキットにより測定することで定量化する。この系を用いて、アミノ酸飢餓ストレスにおける新生鎖の運命を解析する。
2)アミノ酸飢餓ストレスにおける新生鎖の運命決定に対するSMG1機能の解析:
1)で作成・改善したレポーターを用いて、SMG1 knockdownや阻害剤を用いた解析により、アミノ酸飢餓やNMDにおける新生鎖の運命にSMG1が関わるかを明らかにする。また、ペプチドアレイを用いてSMG1の基質特異性を解析した結果を基に、in-silico解析を行った。その結果、SMG1の基質候補として2つのプロテアソームサブユニットと1つのTRiC構成因子を同定している。これらのリコンビナントタンパク質やペプチドを用いて、SMG1によるリン酸化とその意義を解析する。さらに、アミノ酸飢餓ストレス以外のリボソーム停滞を誘導する刺激(プロテアソーム阻害、VCP阻害、UVなど)における新生鎖の運命とSMG1との関わりについても解析を進める。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Angiotensin II Type 1 Receptor-associated Protein Inhibits Angiotensin II-induced Insulin Resistance with Suppression of Oxidative Stress in Skeletal Muscle Tissue2018

    • 著者名/発表者名
      Ohki Kohji、Wakui Hiromichi、Kishio Nozomu、Azushima Kengo、Uneda Kazushi、Haku Sona、Kobayashi Ryu、Haruhara Kotaro、Kinguchi Sho、Yamaji Takahiro、Yamada Takayuki、Minegishi Shintaro、Ishigami Tomoaki、Toya Yoshiyuki、Yamashita Akio、Imajo Kento、Nakajima Atsushi、Kato Ikuma、Ohashi Kenichi、Tamura Kouichi
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 8 ページ: 2846

    • DOI

      10.1038/s41598-018-21270-8

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Angiotensin receptor-binding molecule in leukocytes in association with the systemic and leukocyte inflammatory profile2018

    • 著者名/発表者名
      Haruhara Kotaro、Wakui Hiromichi、Azushima Kengo、Kurotaki Daisuke、Kawase Wataru、Uneda Kazushi、Haku Sona、Kobayashi Ryu、Ohki Kohji、Kinguchi Sho、Ohsawa Masato、Minegishi Shintaro、Ishigami Tomoaki、Matsuda Miyuki、Yamashita Akio、Nakajima Hideaki、Tamura Tomohiko、Tsuboi Nobuo、Yokoo Takashi、Tamura Kouichi
    • 雑誌名

      Atherosclerosis

      巻: 269 ページ: 236~244

    • DOI

      10.1016/j.atherosclerosis.2018.01.013

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Endoplasmic reticulum stress preconditioning modifies intracellular mercury content by upregulating membrane transporters2017

    • 著者名/発表者名
      Usuki Fusako、Fujimura Masatake、Yamashita Akio
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 7 ページ: 12390

    • DOI

      10.1038/s41598-017-09435-3

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Angiotensin II Type 1 Receptor‐Associated Protein Regulates Kidney Aging and Lifespan Independent of Angiotensin2017

    • 著者名/発表者名
      Uneda Kazushi、Wakui Hiromichi、Maeda Akinobu、Azushima Kengo、Kobayashi Ryu、Haku Sona、Ohki Kohji、Haruhara Kotaro、Kinguchi Sho、Matsuda Miyuki、Ohsawa Masato、Minegishi Shintaro、Ishigami Tomoaki、Toya Yoshiyuki、Atobe Yoshitoshi、Yamashita Akio、Umemura Satoshi、Tamura Kouichi
    • 雑誌名

      Journal of the American Heart Association

      巻: 6 ページ: e006120

    • DOI

      10.1161/JAHA.117.006120

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] ATRAP Expression in Brown Adipose Tissue Does Not Influence the Development of Diet-Induced Metabolic Disorders in Mice2017

    • 著者名/発表者名
      Ohki Kohji、Wakui Hiromichi、Azushima Kengo、Uneda Kazushi、Haku Sona、Kobayashi Ryu、Haruhara Kotaro、Kinguchi Sho、Matsuda Miyuki、Ohsawa Masato、Maeda Akinobu、Minegishi Shintaro、Ishigami Tomoaki、Toya Yoshiyuki、Yamashita Akio、Umemura Satoshi、Tamura Kouichi
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 18 ページ: 676~676

    • DOI

      10.3390/ijms18030676

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Adipocyte‐Specific Enhancement of Angiotensin II Type 1 Receptor‐Associated Protein Ameliorates Diet‐Induced Visceral Obesity and Insulin Resistance2017

    • 著者名/発表者名
      Azushima Kengo、Ohki Kohji、Wakui Hiromichi、Uneda Kazushi、Haku Sona、Kobayashi Ryu、Haruhara Kotaro、Kinguchi Sho、Matsuda Miyuki、Maeda Akinobu、Toya Yoshiyuki、Yamashita Akio、Umemura Satoshi、Tamura Kouichi
    • 雑誌名

      Journal of the American Heart Association

      巻: 6 ページ: e004488

    • DOI

      10.1161/JAHA.116.004488

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] An angiotensin II type 1 receptor binding molecule has a critical role in hypertension in a chronic kidney disease model2017

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi Ryu、Wakui Hiromichi、Azushima Kengo、Uneda Kazushi、Haku Sona、Ohki Kohji、Haruhara Kotaro、Kinguchi Sho、Matsuda Miyuki、Ohsawa Masato、Toya Yoshiyuki、Nishiyama Akira、Yamashita Akio、Tanabe Katsuyuki、Maeshima Yohei、Umemura Satoshi、Tamura Kouichi
    • 雑誌名

      Kidney International

      巻: 91 ページ: 1115~1125

    • DOI

      10.1016/j.kint.2016.10.035

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Translational control of mRNAs by 3'-Untranslated region binding proteins2017

    • 著者名/発表者名
      Yamashita Akio、Takeuchi Osamu
    • 雑誌名

      BMB Reports

      巻: 50 ページ: 194~200

    • DOI

      10.5483/BMBRep.2017.50.4.040

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] PI3 kinase様タンパク質リン酸化酵素SMG1による新たな転写後制御機構の発見2017

    • 著者名/発表者名
      山下 暁朗, 佐藤 由典, 黒澤 瞳, 廣瀬 博子, 青柳 杏子, 永井 陽子, 大野 茂男
    • 学会等名
      生命科学系学会合同年次大会
  • [学会発表] PI3 kinase様タンパク質リン酸化酵素SMG1阻害による抗腫瘍効果の解析2017

    • 著者名/発表者名
      藤川 由美子, 山下 暁朗, 大貫 哲男, 鈴木 香絵, 青柳 杏子, 黒澤 瞳, 廣瀬 博子, 永井 陽子, 上村 博司, 吉田 稔, 大野 茂男
    • 学会等名
      生命科学系学会合同年次大会
  • [学会発表] 新規aPKC結合タンパクp200による上皮細胞極性の調節機構2017

    • 著者名/発表者名
      佐々木 和教, 麹谷 典子, 廣瀬 博子, 吉濱 陽平, 高柳 亜由美, 山下 暁朗, 平野 久, 大野 茂男
    • 学会等名
      生命科学系学会合同年次大会

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公開日: 2018-12-17  

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