公募研究
生物は栄養が不足した際に、消費を抑えて、飢餓による細胞死を防ぐ仕組みを持つ。こうした仕組みは出芽酵母からヒトを含む高等動物にまで共通であり、mTORC1 不活性化とGCN2 活性化により翻訳が抑制される。しかし、哺乳動物におけるGCN2活性化機構や飢餓アミノ酸をコードするコドン上で停滞したリボソーム上の新生鎖の運命についてはほとんど解析が進んでいない。本研究では、アミノ酸飢餓時に飢餓アミノ酸コドン上で停滞したリボソーム上の新生鎖を簡便に解析するレポーターを新たに作成し、mTORC1やGCN2などのシグナル経路と新生鎖の運命の関わりの解明を目指した。GCN2制御機構の解析においては、GCN2の活性を制御する新規因子を同定し、分子機構の解明に成功した。一方、当初計画していたNanoLucを用いたレポーターにおいて、全リジンのアルギニンへの変異、全アルギニンのリジンへの変異に成功した。しかし、それ以外のアミノ酸変異では、十分なNanoLuc活性が得られなかった。そこで、NanoLucのSplit peptideであるHiBitを改変したmHiBit を樹立し、安定なT4 Lysozymeと融合させたレポーターを構築した。また、ribosomeの簡易精製のためのeGFP-rpS10a融合タンパク質を安定発現する細胞株を樹立し、ribosomeに結合するmRNAを解析する方法についても導入を進め、次世代シークエンス解析により、ロイシン飢餓依存的翻訳変動を解析した。その結果、4時間のロイシン飢餓では、mRNAについてribosomeとの結合に変化が生じず、uORFを有する遺伝子を含む、一部のmRNAについてのみリボソームとの結合が上昇することが明らかになった。ロイシン以外の様々なアミノ酸について、1種類の飢餓では、翻訳抑制が起きていないことをレポーターを用いた解析により明らかとした。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Scientific Reports
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BioMed Research International
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