私達は小型魚類を利用し、パーキンソン病の病態を研究しています。その中でも加齢とともに自然経過でパーキンソン病に類似した病態を呈するアフリカメダカを観察し、かつその知見をin vitroからヒト剖検脳までを活用することで妥当性を検証してきました。今年度は、1) 老齢のアフリカメダカとヒトパーキンソン病剖検脳において共通して蓄積する異常物質、2) 老齢のアフリカメダカとヒトパーキンソン病剖検脳において共通して増加するαシヌクレインの翻訳後修飾、これらを同定しつつあります。また、3)腸内細菌が腸管神経と中枢神経のαシヌクレインに与える影響、もマウス、組織培養、アフリカメダカ等を用いることで検証しました。 2) " 老齢のアフリカメダカとヒトパーキンソン病剖検脳において共通して増加するαシヌクレインの翻訳後修飾"について特に詳細を述べますと、質量分析、免疫組織学的染色による、小型魚類(アフリカメダカ、メダカ、ゼブラフィッシュ等)、マウス、培養細胞、in vitro、ヒト剖検脳(脳研究所に蓄積された豊富な剖検症例を検討)などの検討により徐々に重要な修飾をしぼりつつある状況にあります。また遺伝子改変モデルや遺伝子導入を中心とした、その修飾の意義付け、特に細胞死や、凝集体形成などとの関連を現在も検索中です。疾患により修飾を受けているだけなのか、それとも細胞死に深く関わっているのか、その検証が今後の課題です。
|