(1) 変異AR凝集体形成に依存しない早期病態に関与する病態関連分子の同定 SBMA疾患特異的iPS細胞を運動ニューロンへと分化誘導し、早期の病態変化を再現する疾患モデルを作製した。このモデルを用いたトランスクリプトーム解析により、複数の早期病態関連分子を同定した。同定した分子群は、モデルマウス脊髄でも同様の発現変化を示し、また複数の患者由来運動ニューロンにおいて同様の発現変化を示した。さらに、ストレス負荷により患者由来運動ニューロンにおける発現変化が増強したこと、これらの分子が健常者由来運動ニューロンにおける表現型を再現したことから、SBMAの病態への関与が示唆された。現在、患者iPS細胞由来運動ニューロンにおけるノックダウンや、同定した分子の下流シグナルの阻害剤によるレスキュー実験を進めており、早期の分子病態の解明を進めるとともに、治療標的としての意義を検討している。 (2)早期病態を標的としたバイオマーカーの探索 同定した早期病態関連分子に着目し、SBMAの早期病態や治療効果の指標となり得る新たなバイオマーカーの探索を進めている。今後、患者検体を用いた解析を進めていく予定である。
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