研究実績の概要 |
1.緑色イオウ細菌のRieske/cyt b型シトクロム複合体の可溶化・精製の検討 1) 界面活性剤の再検討: これまでのSM-1200による可溶化に加え、β-OG、β-DDM、およびβ-OGとコール酸ナトリウムの混合溶液 (β-OG/コール酸ナトリウム)による可溶化を試みた。電気泳動により目的タンパク質を確認したところ、β-DDMが最も効率よく可溶化できていることが判明した。 2) 標品調製に用いる株の再検討:cyt bおよびRieske ISPのN末端にHis-tagを付加したコンストラクト(それぞれHis-bおよびHis-R)について検討した。可溶化後のヘムbの含量を差吸収スペクトルが見積もったところ、His-RよりもHis-bの方が含まれているヘムb含量が多いことが分かった。しかしながら可溶化後の標品に含まれているヘムb量に比べ、Ni樹脂からの溶出画分に含まれているヘムb量が極端に少なかった。好気条件下での一連の操作では、非共有結合しているヘムbが不安定で容易に遊離すると推測された。今後は嫌気的条件下での可溶化、精製を試みる必要がある。 2.緑色イオウ細菌のRieskeタンパク/ CT0073(cyt c-556)の相互作用解析 1) NMR測定による相互作用解析: 15N-Rieske-sol(Rieske ISPの可溶性ドメイン)と14N-cyt c-556を準備し、還元型15N-Rieske-solと酸化型14N-cyt c-556を混合することでピークシフトが観測された。このことは電子伝達反応にともなう複合体形成を意味する。 2) 相互作用部位の同定:上記の動きを示すピークがどのアミノ酸残基であるかを明らかにするため、二重標識した13C, 15N-Rieske-solの大量発現、精製を行った。現在、シグナルの帰属を進めている。
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