研究領域 | スクラップ&ビルドによる脳機能の動的制御 |
研究課題/領域番号 |
17H05738
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小山 隆太 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 准教授 (90431890)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | シナプス / シナプス貪食 / グリア / うつ病 |
研究実績の概要 |
小児は感染症などにより頻繁に高熱を経験する。小児期の脳内では神経回路の形成が盛んに行われており、この時期の高熱は、将来の脳機能に非可逆的な影響を及ぼす可能性がある。本研究では、神経回路形成や脳機能の発達に及ぼす高熱の影響を検証するため、小児期のマウスに人工的に高熱を誘導した。恒温チャンバー内にマウスを入れ、外気の温度を上げることで高熱を誘導した。7日間の高熱処置により、海馬歯状回において、脳内免疫細胞であるマイクログリアの活性化を認めた。また、マウスの運動量・不安様行動に与える影響を見る目的でオープンフィールドテスト (OFT)、空間記憶能力を見る目的で空間物体認識試験、うつ様行動を見る目的で強制水泳試験を、この順に連続して行った。なお、高熱処置中のマウスのビデオモニタリングから、高熱処置によりけいれん発作を生じた群 (Febrile Seizures; FS) と、ほとんどけいれん発作を生じなかった群 (Hyperthermia; HT) が見られたため、これらを区別して解析を行った。 OFTでは、マウスが新奇環境である箱の中を自由に走り回る。中央滞在時間に差は見られなかった。総走行距離 については、FSと比較してHTで高かった。 空間物体認識試験は4日間連続して行う試験である 。この試験においてCTRLとFS、HTの間に差は見られなかった 。 最後に、マウスを足がつかないプールの中で泳がせる強制水泳試験を行った。強制水泳試験ではマウスの無動時間を計測する。無動は脱出できないことを学習して諦めた状態であると解釈されており、無動時間が長いほどよりうつ様状態であると考えられる。Day 5において、CTRLと比較してFSの無動時間が短かった。OFTにおいてCTRLとFSの総走行距離に差が見られないことも考慮すると、高熱処置を受けたマウスはコントロールのマウスに比べて、“抗うつ様状態”になっていると考えられる 。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モデル構築を完了し、研究ターゲットであるマイクログリアのプロパティ解析に至ったため。
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今後の研究の推進方策 |
シナプス貪食に焦点を置いて研究を進める。また、シナプス貪食のリアルタイムイメージングを試みる。
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