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2017 年度 実績報告書

オリゴデンドロサイトの制御による神経科回路活動の精緻化

公募研究

研究領域スクラップ&ビルドによる脳機能の動的制御
研究課題/領域番号 17H05747
研究機関神戸大学

研究代表者

和氣 弘明  神戸大学, 医学研究科, 教授 (90455220)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワードオリゴデンドロサイト / 髄鞘 / 学習
研究実績の概要

認知機能・学習・情動などの高次脳機能に障害を呈する発達障害・精神疾患は、患者数の増大とともに、就学・就労困難など社会的機能の低下をもたらす重要疾患であるといえる。これらの疾患を理解し、治療法を模索することは社会経済的に非常に重要である。このような高次脳機能は神経細胞集団活動(=神経回路活動)が時空間的に適切に制御されることによって効率的に発現する。近年グリア細胞がその生理機能をもって、これらの神経回路活動の時空間的制御を担い、神経回路活動の恒常性を維持することが着目されている(Fields et al., 2014)。本研究ではオリゴデンドロサイト(OC)及びその前駆細胞(OPC)に着目し、そのスクラップアンドビルドが学習などの高次脳機能にどのように寄与するかを明らかにする。本年度は神経活動依存性の髄鞘化が阻害されることによって活動電位到達時間の時間的分散が増加し、これによって増加する神経細胞の自発的活動が学習行動を阻害する。さらにオプトジェネティックス法を用いて活動電位の到達時間の時間的分散を補正すると運動学習が改善することを示した(論文投稿中)。さらにこれらの神経活動依存的髄鞘化の機能基盤を検索するためにOCおよびOPC特異的にカルシウム感受性蛍光タンパク質が発現するマウスを用いて、現在OC,OPCの生体カルシウムイメージングを行い、その機能応答の解析を行っている。また髄鞘は脂質で構成されることから運動学習に伴う脂質成分の変化を質量分析顕微鏡で解析し、現在神経活動依存性を担う脂質構成成分の同定を行い、候補脂質を絞れている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

カルシウムイメージング、脂質成分の解析も順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

現在の生体イメージングシステムを用いて継続してOC,OPCの機能解析を行うとともに、運動学習に伴うこれらの機能応答の変化を解析する。また2光子顕微鏡を用いて学習行動中の神経回路活動を可視化し、同マウスの脳切片を質量分析顕微鏡にかけることで脂質成分の変化を可視化する。さらにmRNAを同切片から抽出し、髄鞘の変化を同定し脂質の変化と相関させる。また疾患マウスにおいて、脂質成分、その学習依存的変化の変容を明らかにし、異常な神経回路活動との相関を検証する。さらにOCの機能応答の変化を可視化し、オプトジェネティックス法を用いて細胞活動を操作し、脂質成分変容、行動を改善できるかに挑戦する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件)

  • [雑誌論文] Activity-dependent functions of non-electrical glial cells2018

    • 著者名/発表者名
      Kato Daisuke、Eto Kei、Nabekura Junichi、Wake Hiroaki
    • 雑誌名

      The Journal of Biochemistry

      巻: 163 ページ: 457~464

    • DOI

      10.1093/jb/mvy023

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cortical astrocytes prime the induction of spine plasticity and mirror image pain.2018

    • 著者名/発表者名
      Ishikawa T, Eto K, Kim SK, Wake H, Takeda I, Horiuchi H, Moorhouse AJ, Ishibashi H, Nabekura J
    • 雑誌名

      Pain

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      doi: 10.1097/j.pain.0000000000001248

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Reduced Mastication Impairs Memory Function2017

    • 著者名/発表者名
      Fukushima-Nakayama Y.、Ono Takehito、Hayashi M.、Inoue M.、Wake H.、Ono Takashi、Nakashima T.
    • 雑誌名

      Journal of Dental Research

      巻: 96 ページ: 1058~1066

    • DOI

      doi: 10.1177/0022034517708771

    • 査読あり
  • [学会発表] 光で迫る脳免疫細胞の機能2017

    • 著者名/発表者名
      和氣弘明
    • 学会等名
      第40回日本神経科学大会
    • 国際学会
  • [学会発表] Myelination for information processing2017

    • 著者名/発表者名
      和氣弘明
    • 学会等名
      第90回日本神経化学会
  • [学会発表] Physiology of microglia -New Insights-2017

    • 著者名/発表者名
      Hiroaki WAKE
    • 学会等名
      XXⅢ World Congres of Neurolog
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 髄鞘のスクラップアンドビルドによる脳情報処理の効率化2017

    • 著者名/発表者名
      和氣弘明
    • 学会等名
      次世代脳冬のシンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] Spatial and temporal regulation of neuronal circuit activity by glial cells2017

    • 著者名/発表者名
      Hiroaki WAKE
    • 学会等名
      The UK-Japan Spring Neuroscience Symposium
    • 招待講演
  • [学会発表] Activity dependent myelin regulation in information processing2017

    • 著者名/発表者名
      和氣弘明
    • 学会等名
      第123回日本解剖学会総会・全国学術集会
    • 招待講演

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公開日: 2018-12-17  

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