研究領域 | スクラップ&ビルドによる脳機能の動的制御 |
研究課題/領域番号 |
17H05754
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研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
杉山 陽子 (矢崎陽子) 沖縄科学技術大学院大学, 臨界期の神経メカニズム研究ユニット, 准教授 (00317512)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 臨界期 / 可塑性 / ソングバード / 歌学習 |
研究実績の概要 |
キンカチョウは成鳥の歌を聴いて覚え、模倣することで歌を学習する。この時、幼鳥は生得的に存在するキンカチョウの種に共通する特徴を保ったまま、個の特異性を学習によって獲得し、それぞれ個体に特有の歌を獲得する。研究代表者の研究室ではこれまでの研究から、キンカチョウの第一次聴覚野には生得的に決まるキンカチョウの歌のテンポと、学習によって獲得する歌の音響構造をそれぞれコードする二つの異なる神経細胞群が存在することを明らかにしている。本研究はこの生得的な神経回路と経験依存的に獲得する神経回路がどの様に競合と融合を行いスクラップ&ビルドを繰り返すことで歌学習を制御するのかその神経メカニズムを明らかにすることを目的としてる。 平成29年度は、第一次聴覚野の神経細胞群に蛍光タンパク質を発現させ、透明化を用いて多くの細胞の形態を解析することにより、形態的に異なる何種類かの細胞群が存在することを明らかにし始めている。これらの手法はトリではこれまでに用いられていなかったが、研究代表者の研究室において世界で初めてトリに応用することに成功している。またさらにこの第一次聴覚野の単一の神経細胞から電気生理学的に記録を行い、細胞の聴覚応答の同定を行った後に、透明化を用いてその形態、投射先を明らかにすることで、先に形態を明らかにした細胞群が機能的にはテンポ、音響のどちらをコードする神経回路に属するのか明らかにすることを試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は平成29年度に開始されたが、上記の様に研究代表者の研究室において、実験系を世界に先駆けて確立しているため、結果を得始めるのに少し時間がかかったが、年度の後半には手法が安定的に確立し、結果を得始めている。このためおおむね順調に煤でいると言える。 さらにこの安定した手法により結果を重ねていくことで、来年度には結果をまとめて発表できるようにしてく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の実施方法に大きな変更はない。昨年度までの研究、キンカチョウ第一次聴覚野の神経細胞の形態学的な分類と、電気生理学的解析による聴覚応答の解析を行い、この領域の神経回路を機能的、形態的に同定する。2018年度はこれらの結果をまとめて発表するように研究を推進する。
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