研究領域 | スクラップ&ビルドによる脳機能の動的制御 |
研究課題/領域番号 |
17H05757
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研究機関 | 公益財団法人先端医療振興財団 |
研究代表者 |
川内 健史 公益財団法人先端医療振興財団, その他部局等, 研究員(上席・主任研究員クラス) (60397544)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | スクラップ&ビルド / 創造的破壊 / 大脳皮質 / 神経成熟 / 細胞内輸送 |
研究実績の概要 |
脳内における情報処理は、特定の脳領域に配置された神経細胞が作り出す1方向性の情報の流れが基本単位となる。神経細胞が1方向性の情報伝達を行うためには、発生期に誕生した神経細胞が、未成熟な神経突起を情報の入力を司る複数の樹状突起と出力を担う1本の軸索へと分化させる必要がある。個体脳における樹状突起の形成は、段階的なスクラップ&ビルドを介した複雑な過程を経るため、軸索の決定やガイダンスと比較して、その分子機構は不明な点が多い。本研究では、発生期の大脳皮質をモデルとして、神経細胞の移動に伴って起きる樹状突起の段階的なスクラップ&ビルドの各段階を制御する分子を同定し、それらの関係を理解することを目指す。初年度(H29年度)では、段階的スクラップ&ビルドの初期段階である、未成熟突起の形成と退縮に着目をして研究を行った。これまでに我々は、細胞接着分子N-カドヘリンの機能抑制により、未成熟突起の形成が阻害されることを報告していることから(Neuron 2010)、N-カドヘリンの活性を抑制的に制御する分子を中心に探索を行った。その結果、クラスリン非依存性エンドサイトーシス経路関連分子が未成熟突起の退縮を起こす神経細胞に強く発現していることが分かった。また、クラスリン非依存性エンドサイトーシス経路によりN-カドヘリンの細胞表面量が減少すること、個体脳においてクラスリン非依存性エンドサイトーシス経路を抑制すると、未成熟突起の退縮(創造的崩壊)が阻害されることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経成熟におけるスクラップ&ビルドのメカニズムの解析を行い、初年度においてクラスリン非依存性エンドサイトーシスの重要性を明らかにできたことから、本研究課題は概ね順調に進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
クラスリン非依存性エンドサイトーシスの制御機構などを明らかにし、H30年度に論文としてまとめることを目指す。
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