公募研究
iNKT細胞は、胸腺内で正の選択を受け分化し、異なる「エフェクター機能」を有する各iNKT細胞サブセットへと分化する。すなわち、IFNgを産生するPLZFlowT-bethi NKT1細胞、IL-4を産生するPLZFhiT-betlow NKT2細胞、IL-17を産生するPLZFmedRorgthi NKT17細胞であるが、その分化運命決定の分子機構は不明である。私たちは、各iNKT細胞サブセットへの分化の違いが、胸腺における正の選択の際の抗原(ネオセルフ)の違いによるのではないかと考え研究を進めている。これまでにT細胞の活性化マーカーとして知られているCD69分子を欠損したマウスでは、NKT2細胞の顕著な低下が認められることを発見した。そして、この分化の違いは、正の選択を受けた直後の未成熟なCD24+iNKT細胞におけるCD69の発現の違いによるものであることが示唆された。しかし、その分子機構はわかっていなかった。平成30年度に行った実験結果から、NKT2細胞の前駆細胞は、CD69の発現が高く、S1P1の細胞表面への発現を抑制することで、分化過程にあるNKT2前駆細胞を胸腺内に長くとどまらせることで、NKT2細胞への分化成熟を完遂させることが判明した。つまり、NKT2細胞への分化には、その前駆細胞が胸腺内に長くとどまる必要があることがわかった。一方で、NKT1細胞やNKT17の前駆細胞は、CD69の発現が低く、その分化にCD69は必要ないことがわかった。この結果は、各種iNKT細胞サブセットの分化運命決定は、分化段階の非常に初期段階に起こること、ネオセルフ抗原の違いによりもたらされる可能性を示唆するものである。この成果は論文としてまとめ、Nature Communications誌に掲載された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 4件、 招待講演 5件) 備考 (1件)
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