研究領域 | ネオ・セルフの生成・機能・構造 |
研究課題/領域番号 |
17H05802
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
穂積 勝人 東海大学, 医学部, 教授 (30246079)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Notch / Notchリガンド / Treg細胞 / Tfh細胞 / パイエル板 |
研究実績の概要 |
我々はこれまで、①Notchリガンド:Dll4がパイエル板にて特徴的に発現すること、②パイエル板内のT細胞、特にFoxp3陽性の制御性T(Treg)細胞にNotch1シグナルが発動していること、③Dll4遺伝子欠失は、上記Notch1シグナルの消失をもたらすことを見出し、T細胞を介したパイエル板でのIgA産生系におけるNotchシグナルの生理的意義について追求した。 まず、CD4-Cre、Notch1/Notch2-floxedマウス(T細胞にてNotch1/2が消失)パイエル板でのT細胞、B細胞について調べたところ、濾胞ヘルパーT(Tfh)細胞がほとんど消失し、IgAを産生する胚中心(GC)B細胞が著減していた。さらに同マウスでは、腸管粘膜固有層(LP)に残存するIgA+ GCB細胞にて、IgA遺伝子の体細胞高頻度変異(SHM)が低下していた。一方、同マウス・パイエル板では、Foxp3+ Treg細胞の出現頻度が大きく上昇し、かつ機能的に成熟した性状(Tcf1陰性)を有するTreg細胞が増加した。以上の結果は、パイエル板にて特徴的に発現するDll4が、消化管抗原応答性のTreg細胞にNotchシグナルを付与し、Tfh細胞への分化転換に寄与している可能性を示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遺伝子改変マウスの導入作業に手間取り、予定の実験を遂行しきれていない。
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今後の研究の推進方策 |
Ccl19-Cre、Dll4-floxedマウス(パイエル板ストローマ細胞にてDll4遺伝子を欠失)での解析を行う。CD4-Cre、Notch1/2-floxedマウスの交配を進め、パイエル板での形質と、腸内細菌叢との関連を明確にする。 また、東京大学・堀先生より供与いただいたFoxp3-iCre、Rosa-lsl-tdRFP、Foxp3-hCD2マウスよりTreg細胞とnon-Treg細胞を分離し、CD3eKOmへ移植後、パイエル板(あるいはその他のリンパ組織)でのTfh細胞等を調べ、Foxp3発現(hCD2)と陽性履歴(tdRFP)を確認する。この結果から、生後(腸内細菌叢の確立後)、パイエル板でのTreg/Tfh分化転換の頻度を明確にする。
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