公募研究
ウイルスが生物の機能・進化に関わる重要な事例として、宿主ゲノムにウイルスが内在化することにより生じた塩基配列(内在性ウイルス配列、Endogenous Viral Element, EVE)が宿主で生存に必須な機能を獲得することがある。本研究ではそのような配列をゲノムワイドに網羅的に同定するシステムを構築し、EVEを真核生物で網羅的に同定し、系統ごとにまとめたデータベースを構築した(http://peve.med.u-tokai.ac.jp)。本データベースを活用して調べたところ、フィロウイルスの糖タンパク質様の配列がいくつかの脊椎動物にあることがわかった。そこで、エボラウイルスなどのフィロウイルスのゲノム配列をクエリーとして全ての真核生物ゲノム配列に対して探索を行った。その結果、ゾウギンザメ、アフリカツメガル、ニジマスのゲノム配列にフィロウイルスの糖タンパク質(GP)に極めて類似の配列が存在することを発見した。更にそれらの配列が実際に遺伝子として発現しているのかどうかを調べるために、ゾウキンザメ 13サンプル、アフリカツメガエル 11サンプル、ニジマス 7サンプルのRNA-seqデータをアセンブリし、類似配列を探索した。その結果、ゾウキンザメにおいてはその配列がRNA-seqデータからも確認された。また、その配列は胎盤形成に関与することが知られている内在性レトロウイルスの膜タンパク質(Env)に由来するsyncytin-Rum1にも類似することがわかり、レトロウイルスのEnvとフィロウイルスのGPに強い関連があることが推察された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Virus Research
巻: 262 ページ: 30~36
10.1016/j.virusres.2018.02.002
Journal of General Virology
巻: 99 ページ: 704~709
10.1099/jgv.0.001046
http://peve.med.u-tokai.ac.jp