公募研究
社交不安障害(以下SADと略す)患者の数は人口の約10%という高い有病率であり、大きな社会的問題となっている。SAD患者はヒトから見られているという意識が強く、人前での会話といった社会的場面において強い不安を呈し、職業面・社会生活面で大きな障害をきたす。SADはもっとも生活の質(QOL)を下げる精神疾患の一つとの報告もある。現在まで薬物療法や認知行動療法など効果的な治療もあったが、一方で難治なケースも数多く存在した。人の外観に酷似したヒト型ロボットであるActroid-Fは声の抑揚を調整することで感情的要素を軽減でき、状況・場面・体調・感情によって対応がぶれることもなく、不安が強く変化に敏感なSAD患者にとっても安心して関わることができ、向社会的態度を誘発することが期待できる。“暴露療法”は不安に慣れるための練習法で、敢えて自分が苦手とする状況をクリアしていく事によって少しずつ恐怖を取り除き、病気を克服していくという治療法である。多くのSAD患者にとって心地よく自然にかつ相互にインタラクションするように視線呈示やジェスチャといったActroid-Fの動きを改良し、ノンバーバルな表出を調整する。動きを改良し、Actroid-Fを用いた暴露療法を確立することが目的となった。平成29年度は精神科医の応募者が実験中の経時的変化を詳細に検討し、Actroid-Fに対するSAD患者の反応の分析に取り組んだ。SAD患者の長期的にインタラクションするうえで、Actroid-Fから受ける人間らしさの印象、心理的安心感を指標とした、SAD患者のインタラクションの質を上げる要因を評価し、Actroid-F の動きを改良することでSAD患者と自然にかつ相互にインタラクションするActroid-Fの実現を目指した。多くのSAD患者が適合するActroid-Fが設定することに成功した。
2: おおむね順調に進展している
多くのSAD患者が適合するActroid-の設定に成功した。
平成29年度に設定したActroid-Fを用いて、社交不安障害患者に対面してもらいその効果を評価する予定である。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件)
Frontiers in Psychiatry
巻: なし
10.3389/fpsyt.2018.00036.
Journal of Autism and Developmental Disorders.
巻: 2 ページ: 632-634
10.1007/s10803-017-3365-0.
American journal of Psychiatry.
巻: 9 ページ: 904-905
10.1176/appi.ajp.2017.17030257
Frontiers in Psychiatry.
巻: - ページ: -
10.3389/fpsyt.2017.00169.
PLOS ONE.
10.1371/journal.pone.0186581