研究領域 | 認知的インタラクションデザイン学:意思疎通のモデル論的理解と人工物設計への応用 |
研究課題/領域番号 |
17H05860
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
三浦 純 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90219585)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ヒューマンロボットインタラクション / 作業教示 / インタラクション計画 / 知能ロボティクス |
研究実績の概要 |
本研究では,ロボットを介して人から人への組立作業の作業知識を伝達するというタスクを用いてヒューマンインタラクション(HI)研究を行う.本年度は以下の研究を行った. まず作業知識伝達におけるモデルを拡張し,物体の配置のみならず物体の種別に関するあいまいさを扱えるようにした.それに伴い,物体の種類のあいまいさを減らすためのインタラクションも追加し,両方のあいまいさを考慮したインタラクションアルゴリズムを構築した.さらに,それらのインタラクションを行うための機能をバーチャルロボットシステムに追加した. 次に,これまで経験的に与えていたあいまいさの確率モデルを認識結果から計算するための手法を開発した.物体配置に関するあいまいさでは計測の位置誤差と判断の基準から,可能な仮説の確率分布を計算する手法を確立した.物体指示動作に関するインタラクションでは,ユーザの指示方向の計測誤差と物体配置から,物体間のどの位置関係を指示しているかの確率分布を計算する方法を開発した.人からロボットへのインタラクションを対象にそれらの確率モデルが利用できることを検証した. モデル精緻化については,状態記述ベクトルの表現拡張という観点で問題を捉え,与えられた教示例から現在の記述ベクトルが十分であるかどうかをまず判断し,十分でない場合にはどのように記述ベクトルを拡張するか,の2点について,積木操作タスクを対象にアルゴリズムの検討を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
以下の項目を実施した: ・物体種別に関するあいまいさを扱えるようにモデル,インタラクション方策,バーチャルロボットを拡張した. ・物体配置および物体指示動作の確率モデルをカメラによる認識誤差を基に計算する手法を開発した. ・モデル精緻化を状態記述ベクトルの表現拡張という観点で捉え,記述ベクトルの評価・拡張を行うアルゴリズムを検討した.
モデル精緻化アルゴリズムの検討に時間を要したため,現時点では実験による検証を始めたところである.実験による検証とアルゴリズム改良を繰り返して,最終的なアルゴリズムを今年度の早い段階で確立することを目指している.
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今後の研究の推進方策 |
以下の項目について研究を進める: 今年度(第2年度)はまず,前年度検討を行ったモデル精緻化アルゴリズムを対象タスクに適用し,必要な改善を行う.人からロボットへの教示過程を対象とし,ロボットによる教示された作業の実演に対し,人が正しいかどうかの2値情報を与える場合を対象とし,表現拡張のアルゴリズムを確立する.基本的な表現拡張アルゴリズムでは適切な拡張が定まらない場合(複数の表現法が可能な場合),教示者に注目点を問い合わせて,それを基に適切な表現法を選択できるように拡張する. 一方,ロボットから人への教示においては,人が正しい作業知識を獲得したかどうかをロボットが判断できる.正しく獲得されていない場合には,知識を伝えるためのインタラクションの選択法の改善が必要である.そのために,インタラクションによって伝わる情報の予測を修正するアルゴリズムを研究する. また,前年度の研究を進める過程で,バーチャルロボットは即応性には優れているが,一方で実在感が乏しいという問題点も明らかになったので,小型のマニピュレータを用いたロボット作業システムを新たに構築し,実験に用いる.双方のロボットに以上のアルゴリズムを統合し,ロボットを介した人から人への作業教示実験を行って,提案手法を評価する.
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