本研究では,ロボット身体化において重要となる身体表現の更新を促進する要因を解明すると共に,より良いロボット操作インタフェースを開発することを目標としている.今年度は,身体表現を持たない後耳介筋を用いてロボット指を操作するための操作学習実験を行なった.まず,耳を動かすことができない被験者3名に対し,後耳介筋の随意収縮能力を獲得することを目的としたトレーニングを実施した.その結果,被検者 Aはトレーニング開始直後に左耳を動かすことが可能となったが,右耳を動かすことはできなかった.被検者Bはトレーニングを通じて向上はなかった.被検者Cはトレーニングの3セット目から右耳側の筋電位に向上が確認された.その後,左右の後耳介筋を独立して十分に動かすことができる被験者 1名に対し,後耳介筋を用いたロボット指の操作実験を行った.振動刺激を呈示した場合において,より少ない到達作業失敗回数となった(p<0.1).また,実験終了後に被検者から,振動刺激によってロボット指の位置を知覚できたとの報告が得られた.
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