公募研究
H29年度は第一に,健康な被験者を対象として視覚誘導性自己運動錯覚(KiNvis)を反復し,その前後で検査を行う前向き介入実験を実施した。さらに,H30年度実施予定であった,KiNvisを脳卒中片麻痺患者の感覚運動機能の治療のために用いて,その前後で脳機能評価を行なう臨床研究を開始した。詳細は,以下の通りである。1. 健康な被験者での実験:年度内に,健康な被験者9名の実験を終了した。① KiNvis検査(実験室内):これまでに確立された方法を用いた。これまでに開発済のシステムを用いて視覚刺激を付与し,その時に誘導されるKiNvisの強度を確認した。この主観を確認するために,7リッカートスケールを用いた。主観的KiNvis強度が0またはマイナスの場合には,主観的に錯覚感がないものと判断した。また,KiNvisの誘導と同時に表面筋電図を計測し,無知覚運動を定量的に評価した。② 脳機能結合の評価:頭部形態の画像化を目的に,一般的な撮像方法によるT1強調画像を撮影した。また,Gradient Echo / Echo Planer Imagingによる撮像によりblood oxgenation level dependent効果から脳機能結合を推定する解析を行なった。脳機能結合の解析は,seed based analysisを行なった。関心領域として,過去の研究に基づいて,KiNvisに関わる部位,身体所有感に関わる部位,そして主体感に関わる部位を設定した。さらに一次運動野,感覚野,補足運動野,そして運動前野を加え,それら全ての部位間での関係を解析した。2. 臨床研究:慢性期にある脳卒中片麻痺患者を対象に,感覚運動機能に対する治療アプローチの一部としてKiNvisを実施し,その前後で脳機能結合を評価した。脳機能結合の評価方法は,健康な被験者に関する実験と同様とした。
1: 当初の計画以上に進展している
当初研究計画では,H29年度については健康な被験者を対象とした実験研究のみを実施する予定であった。しかし,臨床研究の中でfMRIによる脳機能評価をする環境を整えることができたため,H30年度に開始する計画であった研究の一部をすでに開始することができた。
現時点で順調な進捗ではあるが,さらに健康な被験者の実験を追加していく。また,このまま臨床研究における脳機能評価としても計測を継続していく。
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