公募研究
本年度に関しては,次の3つの研究を遂行した.1) 同一被験者に遅延検出タスクおよびAgency Attribution taskを実施して,運動-感覚間の不一致に気づく時間窓と運動主体感が損なわれる時間窓の相違性と類似性を検証することを目的とし実験を行なった.2) 脳卒中後の失行患者を対象にして,その者の多感覚統合機能を定量的に捉え,病巣との関連性を検討することを目的に調査を行なった.3) 身体に感覚閾値未満のランダムな周波数ノイズを加えることにより,感覚入力や運動機能が改善させる現象である確率共鳴(Stochastic Reasonance:SR)の提供が,身体性変容に関わる感覚-運動統合機能に影響を与えるか実験を行なった.なお運動主体感が運動-感覚の比較照合プロセスに準じているのならば,遅延を検出する時間と運動主体感が損なわれる時間との間には,密接な関係があると仮説立てて実験を行なった.その結果,運動主体感の変容には運動-感覚の比較照合以外の要因も考えられることが明らかになった.また,脳卒中後の失行症においては,ナラティブな運動主体感は変容していないものの,運動‐感覚フィードバックの遅延を検出する時間窓が有意に遅延していることも判明した.その遅延検出閾値の異常と関係している損傷部位をVoxel-based lesion-symptom mappingによって分析した結果,左前頭-頭頂ネットワーク上の左下前頭回および左下頭頂小葉といった病巣が関係していることが明らかになった.加えて,このような遅延検出能力を向上させるリハビリテーション手段も検討し,体性感覚閾値以下の振動刺激が運動‐感覚フィードバックの遅延を検出する能力を向上させることが明らかになった.これらの一連の研究から,身体性変容を捉える定量的評価方法の確立およびそのリハビリテーション手段の考案に貢献した.
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 5件、 招待講演 3件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Human Movement Science
巻: 57 ページ: 251-157
0.1016/j.humov.2017.09.003
Frontiers in Neurology
巻: 9 ページ: 709
10.3389/fneur.2018.00709
Frontiers in Psychology
巻: 9 ページ: 948
10.3389/fpsyg.2018.00948
PLoS One
巻: 13 ページ: e0209382
10.1371/journal.pone.0209382.
PeerJ
巻: 6 ページ: e6066
10.7717/peerj.6066
http://www.kio.ac.jp/nrc/