研究実績の概要 |
平成29 年度は,研究項目1, 2, 3について研究を進めた. 1. 共想法支援システムに基づく主体価値発展支援システムの開発:共想法支援システムを発展させ,異なるテーマに対する話題探し,および,同じテーマに対する他者の話題の閲覧を通じ,利用者の主体価値発展を支援するシステムを設計した. 2. 認知行動療法の理論と会話データの分析に基づくテーマの設定とプログラムの考案:共想法形式の会話データから主体価値を推定する手法を,思春期を対象に実施した共想法における会話データを分析することを通じて検討した.好きなおやつをテーマに,高校一年生を対象として,共想法形式の会話を体験する演習を実施した際の,話題提供の発言を文字起こししたデータを分析対象とし,主体価値が反映していると考えられる内容の項目を探索した.値段や食欲,体重といった制約条件の中での葛藤を反映し,本人の自由裁量があると考えられるおやつというテーマ設定は,特に思春期における主体価値を推定する上で有効である可能性が示唆された. 3. 認知行動療法と会話支援技術における評価指標に基づく主体価値発展評価指標の選定:引きこもりの若者が集うサポートステーションの運営者に,共想法を体験頂いた上でヒアリングを行った.また,精神科デイケアにおいて利用者を対象に,共想法を試行した上で,リハビリプログラムを考案した.主体価値発展評価指標を,総括班との議論を通じて選定し,実験計画を策定した.
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