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2017 年度 実績報告書

ヒト型自閉症モデルマウスによる個性の形成メカニズムの解明

公募研究

研究領域多様な「個性」を創発する脳システムの統合的理解
研究課題/領域番号 17H05953
研究機関金沢大学

研究代表者

西山 正章  金沢大学, 医学系, 教授 (50423562)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワード個性 / 自閉症
研究実績の概要

本研究は自閉症の発症時期、責任部位、責任細胞種を特定すると共に、自閉症の発症メカニズムを解明し、個性がいつ、どこで、どのようにして形成されるのかを明らかにすることによって疾患治療への応用を目的としている。最近、自閉症スペクトラム障害の最も有力な原因候補遺伝子としてこのCHD8が同定され、世界中で大きな反響を呼んでいるが、われわれはヒト自閉症患者のCHD8変異を再現したモデルマウスを作製し行動解析を行ったところ、このマウスが自閉症様の行動異常を再現することを確認した[Katayama et al., Nature 537: 675-679 (2016)]。この自閉症モデルマウスを用いて、自閉症が発症するメカニズムをトランスオミクス解析によって調べたところ、遺伝子変異によってCHD8の発現量が減少すると神経発生に重要な制御因子であるRESTが異常に活性化され、その結果として神経の発生遅延が起こることがわかった。さらにCHD8は神経細胞だけでなくアストロサイト、オリゴデンドロサイト、ミクログリアでも発現が認められることがわかった。そこで種々のグリア細胞特異的にCHD8を欠損させたマウスを作製し、各グリア細胞におけるCHD8の機能の解析を行った。特に、オリゴデンドロサイト系譜でCHD8を欠損させたマウスはオリゴデンドロサイトの分化異常がみられ、ミエリンの形成が著しく障害されていることから、CHD8はオリゴデンドロサイトの分化に重要な役割があることが明らかになった。これらの結果から、少なくとも一部のグリア細胞においてはCHD8が重要な働きを担っていることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

いくつかのグリア細胞においてCHD8の欠損よりグリア細胞の機能が障害することが判明し、CHD8によるグリア細胞制御の重要性が明らかになりつつある。アストロサイト、オリゴデンドロサイト、ミクログリア特異的CHD8ノックアウトマウスを作製し、各グリア細胞に関して詳細な機能解析を行うことで、CHD8の欠損がグリア細胞の機能に与える影響が明らかになりつつある。これらの知見は当初の研究目的に適っており、順調に達成されつつあると考えられる。

今後の研究の推進方策

プロテオーム、ChIP-SeqおよびRNA-Seq解析によって、グリア細胞におけるCHD8の標的遺伝子を網羅的に探索することで、CHD8によるグリア細胞の制御機構を解明する。またCHD8欠損によるグリア細胞の機能異常が自閉症様の行動異常に関与しているかどうかを検討する。さらにグリア細胞の機能異常がニューロンへの二次的な影響を与えているかどうかを調べるために、形態学的解析や電気生理学的解析を行う。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] The autism-related protein CHD8 cooperates with C/EBPβ to regulate adipogenesis.2018

    • 著者名/発表者名
      Kita, Y., Katayama, Y., Shiraishi, T., Oka, T., Sato, T., Suyama, M., Ohkawa, Y., Miyata, K., Oike, Y., Shirane, M., *Nishiyama, M., *Nakayama, K. I.
    • 雑誌名

      Cell Rep.

      巻: - ページ: -

    • DOI

      -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Essential role of FBXL5-mediated cellular iron homeostasis in maintenance of hematopoietic stem cells.2017

    • 著者名/発表者名
      Muto, Y., *Nishiyama, M., Nita, A., Moroishi, T., *Nakayama, K. I.
    • 雑誌名

      Nature Commun.

      巻: 8 ページ: 16114

    • DOI

      10.1038/ncomms16114

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] FBXL5 inactivation in mouse brain induces aberrant proliferation of neural stem progenitor cells.2017

    • 著者名/発表者名
      Yamauchi, T., *Nishiyama, M., Moroishi, T., Kawamura, A., *Nakayama, K. I.
    • 雑誌名

      Mol. Cell. Biol.

      巻: 37 ページ: e00470-16

    • DOI

      10.1128/MCB.00470-16

    • 査読あり
  • [学会発表] ユビキチンリガーゼFBXL5による鉄代謝制御と肝がん抑制2017

    • 著者名/発表者名
      武藤 義治, 西山 正章, 諸石 寿朗, 中山 敬一
    • 学会等名
      2017年度生命科学系学会合同年次大会
  • [学会発表] 自閉症関連因子CHD8はC/EBPβと協調して脂肪分化を制御する2017

    • 著者名/発表者名
      喜多 泰之, 西山 正章, 片山 雄太, 白根 道子, 中山 敬一
    • 学会等名
      2017年度生命科学系学会合同年次大会
  • [学会発表] クロマチンリモデリング因子CHD8による幹細胞老化の防止機構の解明2017

    • 著者名/発表者名
      仁田 暁大, 西山 正章, 武藤 義治, 片山 雄太, 中山 敬一
    • 学会等名
      2017年度生命科学系学会合同年次大会
  • [学会発表] クロマチンリモデリングの異常によって発症するASDの分子病態2017

    • 著者名/発表者名
      片山 雄太, 西山 正章, 昌子 浩孝, 大川 恭行, 川村 敦生, 佐藤 哲也, 須山 幹太, 内匠 透, 宮川 剛, 中山 敬一
    • 学会等名
      2017年度生命科学系学会合同年次大会
  • [図書] 実験医学2017

    • 著者名/発表者名
      片山 雄太,西山 正章,中山 敬一
    • 総ページ数
      138
    • 出版者
      羊土社
    • ISBN
      978-4-7581-0159-2
  • [備考] 金沢大学医薬保健研究域医学系 組織細胞学

    • URL

      http://ana1.w3.kanazawa-u.ac.jp/

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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