公募研究
本研究では、精神疾患動物モデルを用い、初期神経発生過程で生じる体細胞変異について頻度やパターンをエクソーム解析から明らかにすることを目的とする。精神疾患動物モデルとして、poly(I:C)投与妊娠マウスを用い、仔の脳神経系を対象とした解析を行う。本年度は、次年度以降の多数例のサンプル解析時の最適なシークエンシング条件の設定を行うことを目的とした。妊娠マウスへのpoly(I:C)投与は、申請者らが既に確立した、レトロトランスポゾンLINE-1のコピー数が安定して増加する条件を用いて投与した。poly(I:C)投与妊娠マウスから得られた出産直後の仔マウスの前頭葉部位および心臓組織や尻尾組織などからゲノムDNAを抽出し、トランスポゾンLINE-1のコピー数定量を行い、最も顕著に前頭葉でのLINE-1コピー数増加を示した個体を選んだ。選んだ個体由来の前頭葉ゲノムDNAを超高深度エクソーム解析に供した。エクソーム解析は、アジレント社のマウス用エクソーム解析プラットフォーム(SureSelect Mouse All Exon Kit)を用い、SureSelect XT HS Target Enrichment Sysmtem(アジレント社)プロトコールに従い、分子バーコード付加条件下で次世代シークエンス用ライブラリーを調整した。調整したサンプルは、Illumina社のHiSeq2500を用いたシークエンスを行い、約18億リード、総計約183Gbのシークエンス情報を得た。現在、quality controlを行った後、マウスゲノムへのマッピングおよび変異検出を行っている。
2: おおむね順調に進展している
超高深度解析のためのシークエンスデータ取得に成功した。
得られたシークエンスデータについて詳細な検討を行い、限られた個体数ではあるが顕著にゲノム変異が生じている個体について体細胞変異のランドスケープを明らかにし、以後の多数例解析のための実験条件の設定を行っていく。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
NPJ Schizophr.
巻: 4 ページ: 7
10.1038/s41537-018-0049-5
Psychiatry and Clinical Neurosciences
巻: 72 ページ: 245-254
doi: 10.1111/pcn.12645
巻: 72 ページ: 280-294
10.1111/pcn.12632