公募研究
本研究では、自閉スペクトラム症(ASD)者の日常生活上の得意・不得意を定量化することを目的とし、認知神経科学や調査研究の手法を用いてその個人差を明らかにする。感覚情報処理の特徴と発達障害に関連した個性を明らかにするための実験・解析に加えて、発達障害者の感覚の問題に関するWEBアンケートを実施した。これまでの実験で、ASD者においても感覚のポストディクションは保たれている一方で、棒など身体外に触知覚が飛びにくい特性を持った方がASD者の半数~1/3以上を占めることが明らかになった。本年度、聞き取り調査を進めたところ、その特性を持った方の全てがスポーツを苦手と認識していることが判明した。一方、この傾向を持たないASD参加者については、スポーツに強い苦手意識を持たない者が半数近くを占めた(H30.7神経科学大会)。ポストディクションに対して、感覚刺激の予測/推定についても触覚時間順序判断を用いた課題で調査した。その結果、自閉傾向の高い実験参加者ではベイズ推定の影響が生じにくいことが明らかになった。この成果は、H30.11の発達神経科学学会で発表した。さらに視触覚の相互作用と身体性についての研究を論文発表した。昨年度、準備を行なった感覚の困難に関するWEB調査について、H30.8から開始し、431件のデータを得た。当事者の悩みとしては、聴覚の問題が大きな割合を占めること、そしてASD者とそれ以外の発達障害者で比べると、前者では触覚の問題が多いことが明らかになった。中間結果をH30.11の発達神経科学学会で発表するとともに、この取り組みはNHKおはよう日本(H30.11.22放送)にて紹介いただいた。以上のように、発達障害の日常生活上の得意・不得意の背景にある認知行動特性を明らかにするための研究を行い、感覚の問題とそこから生じる日常生活の問題を明らかにした。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 1件、 招待講演 6件) 備考 (1件)
Journal of Autism and Delopmental Disorders
巻: 49 ページ: 44-53
10.1007/s10803-018-3677-8
Psychologia
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
Scientific Reports
巻: 8 ページ: 17018
10.1038/s41598-018-35302-w
http://www.rehab.go.jp/ri/departj/brainfunc/dds/