平成29年度は,小型の無限平面装置を作製し,動作生成に関する原理の確認を行う予定であった。当初の構想は以下の通りである。まず,四つの全方位車輪を円周上に等間隔に配置する。あわせて,隣り合う全方位車輪の間にボールキャスタを円周上に配置し,シートの張力を保ち,シートのたわみを無くす。シートは,伸縮性の高い素材を使用する。平面を生成するために,球形に縫い合わせたシートで,全方位車輪とボールキャスタを覆う。全方位車輪を駆動するための電気・電子機器もシート内部に配置し,無限平面を生成する。 この構造では,シート内部の電子機器とは無線通信を行う必要がある。また,バッテリへの給電もワイヤレス給電を用いるか,給電のたびにシートを開く必要がある。当初は後者を選択し,『シートで覆う作業やバッテリへの給電作業が簡便になり,かつ,縫い目が模様にならない縫い方を模索する』としていた。 これらの問題を抜本的に解決するために,装置の機構を大幅に変更することとした。具体的には,モータなどの電子機器をシート内部に配置する予定であったところを,シート外部に配置する機構とすることとした。これによりバッテリへの給電や機器メンテナンスの簡素化が期待できる。一方,機構については,一部は簡素化されるが,一部は複雑化する。これらへの対応を調査し,全体的な機構の再設計を行った。 また,次年度以降に無限平面装置を動作させることを前提に,観察対象動物であるクモの画像処理についても研究を進展している。具体的には,マーカを使用せずに画像からクモの位置・姿勢を推定するためのアルゴリズムを開発した。
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