研究領域 | 生物ナビゲーションのシステム科学 |
研究課題/領域番号 |
17H05981
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
波部 斉 近畿大学, 理工学部, 講師 (80346072)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 群泳行動 / 追跡 / 検出 / 稚魚 / 小動物 / アノテーション |
研究実績の概要 |
計画通り,大規模群泳行動の自動計測を行うための画像処理アルゴリズムの開発を行った.マグロ稚魚などの小さな物体でも精度良く検出するために,CNN(畳み込みニューラルネットワーク)を利用した検出手法と,さらに,遊泳している魚の姿勢変化をモデル化して,群泳している魚を追跡する手法を開発した.後者は追跡を可能とするだけでなく,姿勢変化モデルによってパラメトリックに姿勢を表現するため,姿勢変化から魚の異常行動を検出し,それが群の中を伝搬していく様子の解析に繋げることができると考えている.これまでに蓄積している水族館や養殖場でのデータを利用してこれらのアルゴリズムの有用性評価を行った.また,当初想定していた稚魚の動き解析だけでなく,生物移動情報学の他の研究グループが研究対象としている生物の解析への適用を開始した.具体的には,コウモリが飛翔している様子を捉えた映像に対して,上記の検出・追跡手法が適用できるか検討を行った.この場合は,マグロ稚魚と異なり背景に岩などの複雑な模様の物体が含まれている点が課題となるが,サンプル映像を用いた予備的検討の結果,良好な結果が得られた. 課題A-2:群泳行動データセットの構築 すでに保有していた水族館や養殖場で撮影した映像に加え,新たに,2017年8月に近畿大学水産研究所大島実験場において群泳行動映像の撮影を行った.これらの映像に対して,魚の位置・姿勢データを人の手で加えるアノテーション作業を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題A-1については,当初想定していた研究項目だけでなく,コウモリなど他の対象や,様々な環境への適用を想定した検討を行ったため,計画以上の進展が見られている.しかし,A-1に注力したため,課題A-2についてはアノテーション作業が若干遅延気味となっているが,研究計画全体としては計画通りの進捗であると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
課題A-1としてあげた自動計測手法の開発については,稚魚の群泳,コウモリなどすでに検討対象としているものついて,様々な環境において安定して検出・追跡できる手法の構築を目指す.このために必要な映像については,これまでに蓄積しているものを利用するが,追加で撮影を要する場合は,水族館や養殖場,あるいは,生物移動情報学の他の研究グループと協力して新たな映像を撮影する予定である. さらに,群泳行動のメカニズムを解明するためのアルゴリズムの開発にも着手する.そのために,これまでに実施していたアノテーション作業に加えて,バースト行動など異常行動を加えたアノテーションを実施する. また,本研究を広く一般にアピールするために,2018年9月に映像収集などで協力を得ている佐世保市の九十九島水族館 海きららにおいて公開講座を実施する予定としている.
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