①TRIM型ユビキチンリガーゼ基質同定プローブの作製:解析対象としていた自然免疫シグナルに関与するユビキチンリガーゼ15種類の遺伝子にさらに16種類の遺伝子を加えて、計31遺伝子を全て入手し、基質捕獲用プローブを作製した。 ②TRIM型ユビキチンリガーゼ安定発現細胞株の樹立:ユビキチンリガーゼプローブを組み込んだレトロウイルスベクターを用いてレトロウイルスを作製し、ユビキチンリガーゼプローブを安定に発現するHEK293T細胞の樹立を試みた。このうち20遺伝子についてプローブを発現する安定発現株の作製に成功し、11遺伝子については細胞毒性のために作製することができなかった。 ③誘導発現型基質同定プローブの作製と誘導発現型細胞株の樹立:通常のレトロウイルスベクターを用いた基質同定プローブ安定発現細胞株作製では困難な場合があった。この場合、誘導発現型が有効であると考えられたため、ドキシサイクリン存在下で発現が誘導されるプローブの作製および細胞株の樹立を行った。 ④IonTrap-Orbitrap型質量分析器による基質の同定:プローブを安定に発現することができた細胞株を用いてそれぞれサンプルを調製した。得られたサンプルについて質量分析器により解析を行ったところ、7遺伝子については基質同定に至らず、13遺伝子について基質候補を得た。 ⑤TRIM型ユビキチンリガーゼによって時間依存的にユビキチン化される基質の解析:polyI:Cをプローブ安定発現HEK293T細胞にトランスフェクション後、数時間毎に細胞を回収してサンプルを調製し、質量分析器により解析を行った。未刺激時に基質候補を得たTRIM型ユビキチンリガーゼは9遺伝子であり、特にシグナル誘導時には13遺伝子で基質候補を得ている。
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