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2017 年度 実績報告書

細胞マルチポラリティのパターン形成の数理モデリング解析

公募研究

研究領域数理解析に基づく生体シグナル伝達システムの統合的理解
研究課題/領域番号 17H06003
研究機関京都大学

研究代表者

中村 直俊  京都大学, 医学研究科, 特定研究員 (30554472)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワード細胞極性 / 反応拡散系
研究実績の概要

本年度は、細胞性粘菌の細胞極性の反応拡散方程式モデル、およびそれを簡単化した2変数モデルの数値的解析を行った。前者については、これまでの空間1次元・周期境界条件を、空間2次元(平面)に拡張し、スポットパターンと進行波パターンの数値的な再現を試みた。グリッドが粗い場合、数値誤差の蓄積により、理論モデルとのずれが生じるが、グリッドサイズを小さくして計算量を増やすことにより、一貫した結果を得ることが可能であった。後者については、興奮系にゆらぎの項を取り入れた2変数の偏微分方程式系を検討した。この系の解析によって、細胞極性のシグナルに興奮系をもつことの意義がより明らかになると考えられる。

細胞極性に関しては、分子レベルのプロセスに基づいた分子生物学的研究のみならず、ソフトマター物理学の考え方に基づいて本質を大胆に捨象した、生物物理学的な研究の進展がめざましく、その成果を数理モデルに取り入れるため、文献の検討を同時に進めている。

また、9月に札幌で偏微分方程式に関するシンポジウムに参加し、反応拡散方程式にとどまらず、様々なタイプの偏微分方程式に対する、主に関数解析の観点からの数学的解析手法について学ぶことができ、自身の研究対象に対するその適用の検討を開始した。細胞極性の反応拡散方程式モデルを質量保存反応拡散系の摂動とみなすというアイディアを現在数値実験で検証しつつあるが、関数解析の理論はその数学的な正当化に役立つと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

数値計算および理論解析の両面から研究を進めている。現象の把握を進めるため、数値計算を先行させている。ほぼ質量保存反応拡散系のアイディアについて、理論解析にもつながる進展があった。空間2次元での数値解析については計算量の増大に伴う困難が生じているが、今後スピードアップを図る。

今後の研究の推進方策

今後、数値実験で確認されている複極性の現象の解明に迫る。次の2方面から行う。まず、より数学的に扱いやすい空間1次元系での、細胞の大きさなどの別のパラメータを分岐パラメータとした分岐解析を進める。さらに、空間2次元での分岐解析を、数値計算と並行して進めていく。最終的には細胞膜を模した閉曲面上での分岐解析が行えることが目標である。昨年度末にマシンを増強したので、計算処理速度の向上が期待される。また、成果の論文化に向けて、数理生物学、応用数学の関連学会での発表を行い、フィードバックを得る。共同研究者との連絡を密にする。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 季節性インフルエンザワクチンに対する免疫応答から個人差を抽出する+細胞の動く軌跡の空間の形2018

    • 著者名/発表者名
      中村直俊
    • 学会等名
      第5回先進イメージング医学研究会(第15回生体イメージング研究会)
  • [学会発表] LAVENDER extracts individual variability in the immune response to seasonal influenza vaccination2018

    • 著者名/発表者名
      Naotoshi Nakamura
    • 学会等名
      From Molecules and Cells to Human Health: Ideas and concepts
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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