研究領域 | 数理解析に基づく生体シグナル伝達システムの統合的理解 |
研究課題/領域番号 |
17H06006
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
末次 志郎 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (70345031)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 細胞生物学 |
研究実績の概要 |
2017年度の研究では、F-BARドメインを持つタンパク質と超解像解析に用いる蛍光タンパク質であるmEOS4bの融合タンパクを作成した。リポソームに、biotin修飾した脂質を少量添加し、biotin-avdin相互作用によって、これらのリポソームをガラスに固定化した。ここにmEOS4b融合BARタンパク質を添加した。反応後、固定し、mEOS4bを用いたPALM (photo-activated localization microscopy)法の局在化法超解像顕微鏡観察を行い、mEOS4bのシグナルを観察した結果、高密度のタンパク質を観察できた。 次にmEOS4b融合タンパク質をマクロファージに発現させ、その局在を調べたところ、内在性のタンパク質と同様であった。つぎに、CRISPR/Cas9によるノックアウト細胞にmEOS4b融合タンパク質を安定に発現させ、mEOS4bのシグナルを観察した結果、高密度のタンパク質を観察できた。 mEOS4bなどの蛍光タンパク質のPALM法超解像観察においては密度に対する「物差し」が不明であるため、常に相対的な濃度の測定にとどまっている。この「物差し」として、mEOS4b単体の結晶作出を試みた。タンパク質結晶は通常の構造解析と同じく、様々な結晶化条件をスクリーニングした。その結果、微結晶を得ることができた。 さらに、mEOS4bは、固定耐性を持つ優れた蛍光タンパク質であるが、他に固定耐性を持つ蛍光タンパク質は知られていない。mEOS4bは緑から赤に光変換されることで、超解像解析を実現している。そこで、多色観察を目的として、緑を消光したのちに緑で点滅する蛍光タンパク質をmEOS4bの改変し、緑から赤への変換を抑制することにより作成した。現在のところこのタンパク質は想定通りの蛍光特性を持っていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超解像解析については順調に進展している。さらに、新たな超解像用の蛍光タンパク質の作出に成功したことから、十分以上に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
計画通りに遂行する。新たに作出した超解像用の蛍光タンパク質の評価を行う。
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