1. 蛍光改変タンパク質の評価 mEOS4bは、固定耐性を持つ優れた蛍光タンパク質であるが、他に固定耐性を持つ蛍光タンパク質は知られていない。mEOS4bは緑から赤に光変換されることで、超解像解析を実現している。そこで、多色観察を目的として、緑を消光したのちに緑で点滅する蛍光タンパク質をmEOS4bの改変により作成した。30年度は、mEOS4bの改変タンパク質の評価を行い、点滅能を評価し実際の超解像観察を行った。具体的には、mEOS4b改変タンパク質とのクラスリン軽鎖や中間系繊維との融合タンパク質を細胞に発現させ、mEOS4bのように緑から赤への光変換ではなく、緑の明滅により、mEOS4bと同様に使用可能かどうかを検証した。その結果、緑の明滅はmEOS4bと同程度の分解能を持つことを見出した。 2. 蛍光タンパク質の結晶中の濃度測定 本研究では 、mEOS4bなどの蛍光タンパク質のPALM法超解像観察のコントロールとして、mEOS4bなどとBARタンパク質の融合タンパク質、あるいはmEOS4b単体の結晶を作出する。タンパク質結晶は通常の構造解析と同じく、様々な結晶化条件をスクリーニングして得る。前年度までに、結晶化条件の改善を試みていたので、30年度はさらに結晶の効率的な作成を試みたところ、微結晶を多数見いだすことができた。また結晶の超解像解析を行い、観察されたシグナルと、理論濃度を比較し、観察率を見積もった。 3. BARドメインタンパク質の濃度測定 前年度に確立したデータを解析することで、試験管内の再構成膜に結合したBARタンパク質および結晶中のタンパク質の整列状況から推定したモデルを比較し、モデルフィッティングにより、BARタンパク質の整列度合いを見積もった。その結果、結晶中の整列状況のみが観察データと適合することがわかった。この結果、BARタンパク質の濃度は、モデルから予想される通りの高濃度で細胞内においても存在していることがわかった。
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