研究領域 | 数理解析に基づく生体シグナル伝達システムの統合的理解 |
研究課題/領域番号 |
17H06014
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
橋本 博 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (40336590)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 構造生物学 |
研究実績の概要 |
DNA損傷チェックポイントのシグナル回路を構成するタンパク質、具体的にはTopBP1とRHINOに関する構造生物学的研究を進めた。TopBP1は損傷特異的なDNAクランプであるRAD9-HUS1-RAD1複合体(9-1-1複合体)からのシグナルを出力装置であるATRキナーゼに伝えるシグナル変換素子である。TopBP1はタンパク質相互作用に関わるBRCTドメインを9個(BRCT0-BRCT8)有し、N末端側のBRCT1-BRCT2(BRCT1/2)がRAD9のC末端と相互作用する。一方、C末端側のBRCT7-BRCT8(BRCT7/8)がリン酸化されたATRと相互作用する。本研究では、ヒトTopBP1のBRCT0/1/2およびBRCT7/8を調製し、パートナータンパク質由来のペプチドを用いて相互作用解析を行った。具体的には,目的タンパク質を大腸菌で大量発現させ、高純度に精製するプロトコルを確立した。精製タンパク質を用いて、Differential Scanning Fluorometry(DSF)を用いて相互作用解析を行った。その結果、BRCT0/1/2とRAD9のC末端ペプチドとの解離定数Kdは約30 umol/L、BRCT7/8とATRペプチドとのkdは約14 umol/Lと見積もることが出来た。今後、それぞれの複合体の結晶化を進めていく。RHINOに関して、様々な領域の発現ベクターを構築し、組換えタンパク質の調製を試みた。その結果、ほとんどの場合において分解産物が見られ、RHINO単体では構造が不安定であることが示唆された。今後はパートナータンパク質との複合体での調製が必要になると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
TopBP1に関しては、試料調製および相互作用解析が概ね予定通りである。一方、RHINOに関しては組換えタンパク質の調製に難航している。
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今後の研究の推進方策 |
TopBP1に関して、BRCT0/1/2とRAD9ペプチドとの複合体の結晶化、BRCT7/8とATRペプチドとの複合体の結晶化を進めていき、X線結晶構造解析および相互作用解析によって複合体形成メカニズムを明らかにする。RHINOに関しては9-1-1との複合体での調製を検討していく。また、9-1-1複合体に関してはDNAとの相互作用解析、DNA複合体の結晶化を進めていく。
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