研究領域 | 人工知能と脳科学の対照と融合 |
研究課題/領域番号 |
17H06041
|
研究機関 | 株式会社国際電気通信基礎技術研究所 |
研究代表者 |
平山 淳一郎 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究員 (80512269)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 機械学習 / 生体信号処理 / 脳機能イメージング / ブレイン・マシンインターフェイス |
研究実績の概要 |
1.SPLICEと呼ぶ積層ICAの基本モデルを確立するため、ニューラルネットワークにおける非線形活性化関数と最大値プーリングに対応する生成モデルの一般化を導入した。当初検討したいわゆるLeaky Rectified Liner Unit (LReLU)は微分不可能点で確率密度が不連続性をもち統計モデルとしては不自然であることがわかったため、全体で微分可能となるようLReLUを改良した新たな活性化関数の族を開発した。最大値プーリングへの対応はLpノルムへの一般化により極限として導出した。また、新たにプーリングを時間方向に拡張することで、後述のEEG応用で見られた特徴量のノイズが大きいという問題を解決した。拡張したモデルに関する最尤推定のアルゴリズムを導出し、Matlabソフトウェアとして実装した。 2.提案法は複数の階層全体をまとめて最尤推定が近似せず実行可能であり、従来用いられてきた層ごとの学習より理論的に優位性が期待される。これを実証するため、シミュレーション実験を行い、実際に上位層が必要な場合、提案法ではサンプル数の増加に対して推定誤差をより効率的に減少させうることを確認した。 3.SPLICEの実問題における有用性を実証するため、3層の基本モデルを安静時脳波・fMRI同時計測データ解析に適用した。データは共同研究者から基本的なアーチファクト除去後のものの提供をうけた。結果として、EEGのアルファ帯域に適用したSPLICEのプーリング層の出力時系列を血流動態反応関数と畳み込むことで、Yeo (2011)らによる17の安静時ネットワーク部分領域と有意に相関するモジュール(プーリング層の個々の出力)が得られることがわかった。この結果に基づき特許出願および学会発表を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画していた基本モデルの検証と拡張が概ね完了し、それに加えて主に翌年度に予定していた実際の脳信号データ解析についても有望な結果が得られたため。
|
今後の研究の推進方策 |
時系列データ等への応用で重要な畳込み層を導入してモデルを拡張し、対応してアルゴリズムの修正と検証を行う。また、脳データ解析への応用について結果の検証と解釈をさらに進め、複数被験者での有効性を検証する。
|