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2018 年度 実績報告書

高感度質量分析計を用いた遺跡出土品のメタボローム解析による多様な食品利用の復元

公募研究

研究領域稲作と中国文明-総合稲作文明学の新構築-
研究課題/領域番号 18H04176
研究機関金沢大学

研究代表者

西内 巧  金沢大学, 学際科学実験センター, 准教授 (20334790)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード遺跡出土品 / メタボロミクス / プロテオミクス / 植物遺体 / 土器付着物
研究実績の概要

本年度は、中国の田螺山遺跡等で出土した植物遺体及び土器付着物のタンパク質の同定について、優先的に解析を行った。現生イネのコメ1粒から抽出したタンパク質を用いたプロテオミクスの実験系をベースに、抽出と精製工程を改変し、中国等で出土したイネ果実(炭化米)1粒から、200種以上の残存ペプチドの検出に成功し、複数の試料で共通して検出された種子貯蔵タンパク質等を見出しており、これらのタンパク質は現生イネ種子における解析でも主要なタンパク質として検出されていた。植物遺体には、動物骨におけるコラーゲンのような安定なタンパク質は存在しないが、種同定のマーカータンパク質を見出すことは可能であると示唆された。また、同時に微生物由来のタンパク質も検出され、中でもイネを宿主としていたと思われる病原菌由来のペプチドの検出された試料もあったことから、当時のイネの生育環境について推察できる可能性も示唆された。一方、土器付着物を用いたプロテオミクスについても取り組み、タンパク質の抽出と精製工程で苦慮したが、複数の試料で植物、動物、微生物由来のタンパク質を同定することができた。しかしながら、タンパク質の同定過程で用いた検索データベースの最適化と精製工程の改善が必要であることが示唆されたため、再検討を進めている。遺跡出土品からのメタボローム解析については、抽出溶媒の検討とHPLCによる分析を進めており、実験系が整備され次第、質量分析計による分析を開始したい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

遺跡出土品を用いたメタボローム解析については、中国の田螺山遺跡等で出土したイネ果実(炭化米)を用いて、抽出溶媒の検討と精製工程について、HPLCによる分析を進めているが、夾雑物が多く安定した解析系の構築に更なる検討が必要な状況である。土器付着物等についても実験系が整備され次第、質量分析計による分析を開始したい。遺跡出土品を用いたプロテオーム解析については、出土動物骨で比較的安定なコラーゲンタンパク質を用いた種同定の実験系を構築済みであったが、本年度は中国の田螺山遺跡等で出土した植物遺体について取り組んだ。現生イネのコメ1粒から抽出したタンパク質を用いて3000種以上のタンパク質を同定可能なプロテオミクスの実験系をベースに、抽出と精製工程を改変し、中国等で出土したイネ果実(炭化米)1粒から、約200種以上の残存ペプチドの検出に成功し、複数の試料で共通して検出された種子貯蔵タンパク質等を見出した。また、同時にイネを宿主としていたと思われる病原菌由来のペプチドの検出された試料も見られた。一方、土器付着物を用いたプロテオミクスについても取り組み、タンパク質の抽出と精製工程に検討を重ね、複数の試料で植物、動物、微生物由来のタンパク質を同定することができた。しかしながら、タンパク質の同定過程で用いた検索データベースの最適化と精製工程の更なる改善が必要であることが示唆された。

今後の研究の推進方策

炭化米等の植物遺体や遺跡出土品からのメタボローム解析については、抽出溶媒の検討とHPLCによる分析を進めているが、残存ペプチドの除去等による精製工程を再検討することにより、HPLCで安定したデータが取れるようになれば、質量分析計による分析を開始し、種同定済みの植物遺体を用いて包括的な代謝物の同定を行い、現生試料との比較も進めたい。プロテオーム解析については、出土場所・年代の異なる炭化米についてイネの残存タンパク質の同定に加えて、病原菌由来のペプチドの解析を行い、イネの病害と出土場所や年代と関連性について考察を進めたい。出土した土器付着物のタンパク質同定については、データベースと精製工程の改善について、国内外の共同研究者と議論を進めながら、解析を進めて行きたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 国際共同研究 (1件)

  • [国際共同研究] マックスプランク研究所(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      マックスプランク研究所

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公開日: 2019-12-27  

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