研究領域 | 稲作と中国文明-総合稲作文明学の新構築- |
研究課題/領域番号 |
18H04177
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
覚張 隆史 金沢大学, 新学術創成研究機構, 特任助教 (70749530)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ストロンチウム / 精製デバイス / 小型デバイス / IoT / 歯エナメル質 |
研究実績の概要 |
本年度は、歯エナメル質粉末のSr精製前処理デバイスの設計及び開発を実施した。研究計画当初において、プラスチックマイクロ流路を民間企業に製造委託し、装置をくみ上げる予定であったが、精製過程において微小量化を進めすぎると、必要量のSrが得られないことが判明した。このため、マイクロ流路ではなくやや大きいサイズで、片手で持てるサイズを維持した小型デバイス作成に軌道修正した。このため、デバイス設計を一から始めたために、開発計画が半年ほどずれ込んでしまった。デバイス開発は、プラスチック流路部・操作パネルに分けて実施した。精製のための流路部は、歯エナメル質を入れる微小プラスチックチップとSr精製で使用するSr Spec樹脂の封入チップを検討したところ、既存の分子生物学用プラスチックチューブを組み合わせることで、試料摂取面及び精製レーンのディスポーザル化ができるように再設計でき、実際にSr精製が可能であることを確認した。また、これらのディスポーザルチップを10試料並列してセットが可能な流速制御流路を設計し、小型ダイアフラムポンプ及び小型電磁弁を組み合わせることで、3試薬を各試料の流路へ独立して供給する小型デバイスを構築した。この小型デバイスは既存の3Dプリンターで安価に作成できるようにより汎用性が高い構造にした。操作パネル開発では、ODROIDの静電液晶パネルを採用し、Qtによる流速コントロールのGUI化を実施した。すでに流速コントロール及び精製メソッドに合わせた流路内のバルブスイッチング機能及び流速・方向スイッチング機能を実装し、精製時間5分間で10サンプルを一度に精製できるメソッドを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画当初で想定していたマイクロプラスチック流路の使用が、実際の開発を進めていく過程で困難であることが判明し、この過程で半年ほどの時間の遅れが生じた。しかしながら、その後の開発で独自のディスポーザル化や操作パネルの設計ができ、計画時に想定していたよりもよりユーザーの使用感がよく、製造が安価なデバイスに改善ができた。本年度で設計が完了し最終的な組み立てを残るところだが、本年度の計画である中国の遺跡出土試料に対して現地で応用することが叶わなかった。このため、進捗状況はやや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、新規に開発した小型IoTデバイスを用いて、海外で持ち出しが不可能な遺跡出土骨の化学分析を達成することが最終目的である。現在までに、開発のめどはついており、各デバイスパーツを組み立てたのちに、すぐ中国浙江省の遺跡で実践使用する。考古資料の調査は現地研究所との事前調整が必須のため、開発が完了する時期を前もって想定し、円滑な実践使用を促していく予定である。
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